「第1回全国ブロック高校男子バレーボールサマーキャンプin熊本2026」が、8月10日(月)~14日(金)に熊本県立総合体育館(熊本)で行われた。8月8日(土)までに開催されたインターハイの準決勝で対戦した鎮西高(熊本)と駿台学園高(東京)も参加。フルセットの末に鎮西高が勝利した一戦を、両チームの選手、監督が振り返った。第3回は名将のあとを継いだ鎮西高の宮迫竜司監督と駿台学園高の高橋真輝監督の対談をお届け
心が折れた
一ノ瀬のビッグプレー
――インターハイを戦った印象はいかがでしたか?
高橋 1セット目は自分たちがやりたいことをできましたが、そのセットの途中から、鎮西のビッグサーバーのサーブがどんどん入り始めて。サーブレシーブが返らなくなり、ブロックでワンタッチを取られてエースに打ち込まれるという、自分たちとしてはいちばんやってはいけない展開にしてしまいました。それで波に乗らせてしまったので、次に対戦するときはなんとかそうさせないようにしたいです。
宮迫 (駿台学園高は)強いです。全然歯が立たないと思っていましたが、ある程度できたことは(勝因の)一つかなと感じています。次に対戦したら逆の展開もありえると思いますが、春高は予選を突破すればおそらく逆(の山)に入るので。意識しなくていいのは気が楽です(笑)
――第2セット以降、鎮西高の一ノ瀬漣選手のスパイクが止まらなくなりました
高橋 予想していなかったわけではありませんが、やっぱりすごかったです。ただ、選手たちはどう感じているかはわかりませんが、最初は小布施(琢磨)がスパイクを触れていたので、まったく無理だった、というわけではないと思います。でもやっぱり勝負が懸かった場面は、鎮西のエースだな、って。特に感じたのは3セット目の4-8で、税所(蓮嘉)からの二段トスをインナーに打ち込まれた場面。あのえげつないコースは、心が折れましたね(笑)
――後方から上がったトスを、すごく鋭角に打ち込みましたね。一ノ瀬選手によると、宮迫監督の「打て!」という声が聞こえたそうです
宮迫 めっちゃ言いました(笑) ああいったボールを打てるかどうかが一つのポイントなので。
高橋 うちとしてはああいうボールを打つかどうかを、リベロがもっと声をかけてほしい。コーチの土岐(大陽)さんだったら後ろから「いけ!」と言ったり、例えば布台(聖〔早稲田大4年〕)の声も、春高の東京体育館ですら聞こえます。試合では自分も出しますが、今の選手たちはあまり聞こえないので。
宮迫 でも、声が聞こえたということは、一ノ瀬にも余裕があったんじゃないですか?
高橋 そうですよね。うちの選手は自分がしゃべっても振り向きもしないので(笑) まだ余裕がないですね。
――この試合では第2セットから鎮西高がローテーションを変えたり、相手を惑わす戦術が印象的でした。高校バレー界では戦術の読み合いが年々激しくなっているように感じますが、お二人はどうとらえていますか?
宮迫 いやー、わからないですね(笑)
高橋 (笑) 2セット目に急にやられたので、それは「え?」と思いながら(笑) 今回でそういうことがあるとわかったので、春高で対戦するときは頭に入れておかないとな、って。そこは崩さないだろうと思っていたところを、いい意味で崩してきたので。
宮迫 でも、大丈夫です。駿台とは当たらないと思うから(笑)
ジョークを交えながらも
にじむリスペクト
――宮迫監督は昨年11月に亡くなった畑野久雄前監督のあとを継いで、高橋監督は梅川大介前監督(大阪Bアカデミーダイレクター)からバトンを受けて監督に就任しました
宮迫 梅川先生のあとでプレッシャーがあるなかで、高橋君は若いのに一生懸命やっています。そういった年代の指導者がだんだん増えてきているので、一緒に頑張ってやっていきたいです。
高橋 インターハイではガチンコで試合をしたのに、この合宿では(宮迫監督に)マイクロバスで会場まで送迎していただいたり。うちとしてはほんとうに助かっています。
宮迫 そういうふうにやっていけるのがいちばんじゃないですか? それが日本全体の強化になると思うので。
――宮迫監督は35歳、高橋監督は25歳と、高校男子の監督では若い部類に入ります
宮迫 10歳違いか。
高橋 自分が監督やコーチになったときに、例えば(合宿などの)懇親会に行ったら20歳以上年齢の離れた方ばかりでした。ちょうど20歳離れている梅川先生でも若い部類だったので。
でも、自分が監督になったときに、いろんな先生方が優しく声をかけてくださいました。山口先生(清風高〔大阪〕の山口誠監督)、北川先生(愛知工大名電高〔愛知〕の北川祐介前監督、現GM)、細田先生(洛南高〔京都〕の細田哲也監督)などが、すごく快く受け入れてくれて。でも、試合はガチンコで、というところもものすごく助かっています。
宮迫 そういうのがいいよね。
高橋 ただ、梅川先生もすごいですが、50年間やってこられた畑野先生のあとを引き継ぐのは…。(昨年度の)春高前にもそういう話をしましたね。「いちばんきついよね」って。
宮迫 勝ったら「やっぱり畑野先生のチームだね」、負ければ「あいつが悪い」と言われる。逃げ場がないプレッシャーがあるなかでの春高でした。ベスト8で負けたあの経験は、監督のスタートとしてはほんとうに大きかったです。
――この合宿はかつて、鎮西高を率いる畑野監督、都城工高(宮崎)の藤本範行監督、そして九州産大付九州産高(福岡)の山本順一監督が切磋琢磨して続いてきました。鎮西高と駿台学園高はこれからどう高め合っていきたいですか?
宮迫 駿台とは梅川先生のころから年に1回は絶対練習試合をさせてもらっていて、最近はその機会が少しずつ増えてきています。今後も全国で上位をキープしないといけないチームどうしなので、監督陣は変わりましたが、これからもやっていきたいですね。
高橋 鎮西はもう、強いんで(笑) 監督が代わってバレースタイルも変わっていると思いますし。
宮迫 また変えるかもしれませんね。これまでのエースバレーに。
高橋 うそですよね(笑)
――お互いにいろいろな手札を用意して臨まれると思いますが、その答え合わせは全国の舞台になりそうですね
高橋 全部を準備しておこうかな、と(笑) 鎮西のいちばんの強みはエースバレーでも強いこと。それが難しいんですよね。自分たちができることは、ひたすら一ノ瀬にプレッシャーをかけて勝つ。倒すにはそれですね。
宮迫 恐いわぁ(笑)
宮迫竜司
みやさこ・りゅうじ/1991年8月26日生まれ/鎮西高→福岡大
2013年に母校である鎮西高のコーチに就任し、畑野前監督の右腕として6度の日本一。昨年12月の天皇杯より指揮を執り、今年のインターハイでは準優勝
高橋真輝
たかはし・まさき/2001年8月9日生まれ/駿台学園高→日本大
駿台学園高のコーチに就任した2024年度は、春高3連覇、全国三冠を経験。25年度から梅川前監督のあとを継ぎ、ここまで昨年度の春高、今年のインターハイと2度の全国四強入り
取材/田中風太(編集部)
写真/中川和泉、編集部
サマーキャンプの模様は、発売中の月刊バレーボール10月号もチェック!
ご購入はこちら
■2年生エース税所蓮嘉×竹内祐一郎 ライバル関係がもたらす力【鎮西高対駿台学園高IH準決勝を終えて#2】
■一ノ瀬漣×小布施琢磨 日本代表を知る2人は「常に刺激をもらっている」【鎮西高対駿台学園高IH準決勝を終えて#1】
■男子はインドネシア、女子はタイで国内では味わえないプレーを経験 海外遠征に臨んだ全国高校選抜が帰国
