若さとエネルギーをぶつけて躍進のシーズンへ【PFUブルーキャッツ石川かほく×SPALDING vol.1】
- SV女子
- 2025.10.14
成熟度を増したチームで新たな発信を
就任2年目・馬場大拓監督
監督就任1年目の昨季は、なんとか8位に滑り込みたかったですし、近い順位のチームとの勝率をもう少し上げたかった。上げられたのでは、という反省があります。ただ上位チームに対しての戦い方で、向かっていく姿勢を見せられたという部分ではチームを誇らしく思います。その前年と同順位だったことも糧にできる(勝率は上昇)、とてもいいシーズンだったと思います。
今季は選手自身が主体性を持って、意思決定ができるチームを目指しています。コミュニケーションの部分や戦術理解なども含め、それぞれについて昨季よりも深いレベルで実践、遂行できるチームとなることがテーマです。例えば声はかけ合っているけれども、もう一段階深く、芯を突いたようなコミュニケーションが互いにできているか? 戦術面でも、例えば「サーブ&ブロック」と言っても、そこからもう一つ、具体的にはどのようなことを意図してプレーを始めていくのか? そういったところを志向しています。
技術的なところで、やはりサーブ、サーブレシーブについては改善が必要。サーブレシーブが悪いなかでアタックの決定率が上がりづらいのは当然ですが、負けたセットや試合においては、そこからの失点数が多いことも課題なので、継続して調整に取り組んできました。
サーブレシーブは単純に個々のスキルレベルの問題が一つ。あとは選手間のコネクションという部分で明確な関係をつくり上げられず、人と人とのギャップにボールが落ちるシーンや、判断が遅れた結果、いいパス技術が出せないケースもありました。コネクションを高めるための練習には引き続き時間を割いています。
客観的に見て、サーブは昨季も決して悪くはなかったです。スピン、ドライブのジャンプサーブは打力がありますし、ジャンプフローターもいい選手がいます。ただそれをゲームで展開しきれず、プレッシャーを乗り越えられなかった部分がありました。練習の中で日々、ストレスをかけて打っていくことで改善を目指しています。
僕個人はまだ、監督としてのスタイルが確立できていません。ただ昨季は1年間、とても苦悩しながら過ごすことができましたし、スタッフ・選手も同じように苦悩しながらチームをよくするために動いてくれました。2シーズン目の今、比較すると僕自身が少し余裕を持って「もっとこんなふうになりたいな」とか、スタッフに対しても、「こうなってほしい、だからこうしてほしい」といった先を見たコミュニケーションがより深くできていると思います。今季は、チームとしての成熟度を高めていきたいです。
ウェアについては、個人的にSPALDINGさんには親交のある方が何人かいらっしゃって、そこでは既存のいわゆる「バレーボール」という固定観念から少し変化していきたいな、という話をずっとしています。今回またいろいろと工夫してくれているのはありがたいですし、今後も新しい何かを我々で発信していくんだ、といったことをSPALDINGさんと一緒に、チームでイメージを共有しながらやっていければと思っています。
新メンバーを加えての戦いに注目
細沼 綾主将
昨季から監督が代わり、チームが新体制になったタイミングで、バレーボール人生で初めてキャプテンをやらせていただきました。しかしいざ始まると、どう立ち振る舞えばいいのか? 自分のプレーに集中することと、チームのケアをすることが、途中までどっちつかずになってしまいました。それでも後半は「もう、みんなに助けてもらおう」と切り替えて集中することができ、いいプレーが増えた手応えもありました。個人的にもチームとしてもムラはありましたが、一方でチームとして、ほんとうに新体制1年目か、というくらいの堂々としたプレーはできた自信があり、手応えもあったシーズンでした。
ほんとうに明るいチームで(笑) 走り出したら止まらなくなるというのが強みなのですが、ハマってしまうと抜け出すまでに時間がかかることが昨季は課題でした。表情やことばなど、コミュニケーションが減ってしまうので、私が常に声を途切らせないよう、発信は止めないこと、そしてなるべくみんなの顔を見ることを特に意識していました。
今季は各チームにかなり外国籍選手が増えています。PFUにも外国籍選手が増えたというように感じましたが、その反面、PFUは「日本人が強いんだぞ」と前面に出せるチームだと思うので、躍動する姿を見てもらいたいです。新加入選手たちもなじんでおり、昨季とはまた違ったコンビにご期待ください。特にタマキさん(松井珠己)とフジさん(藤倉由貴)では攻め方が違うので、セッターの使い分けによってバレーが変わってくるおもしろさも、ぜひ見ていただきたいです。
個人的にはいつも「持ち味であるブロックに自信を持って頑張ります」と言っていますが、ブロックだけではなく、今シーズンはスパイクでチームに貢献したい。決定率なども意識しながら、強気で44試合を戦い抜きたいです。日本代表に入りたいという思いがずっとあるので、やはりアタック決定率を上げなければと思いますし、サーブでも少ない機会でいかにブレイクできるか、そこでもアピールできるよう強化したいです。
シーズンを共に戦うSPALDINGさんの新ユニフォームについて、シャツは一見変わっていないように見えるのですが、今季はグラデーションが取り入れられたデザインとなり、それがパンツにもつながっていて、若干下が濃くなっているため、よりスタイリッシュに見えるのがポイントです。あと背番号に引っかき傷がついており、そこはいちばんブルーキャッツらしさを感じるので見てほしいです。またシャツネームは、今季から選手によって苗字か名前かが違っており、「あ、変わっている」と気づく方がいらっしゃると思います。チェックしてみてください。
今季は最高のパフォーマンスを
新加入の司令塔・松井珠己
入団に際しては、ほんとうに熱くオファーをいただきました。去年練習させてもらう機会があって、雰囲気や選手たちのポテンシャルなどに感じるところがあり、もう一回一緒にバレーをしてみたいな、と思いました。あとはアンダーエイジカテゴリー時代のコーチなどでつながりのあった馬場監督のもとでやりたい気持ちもあったので、決断しました。型にはめるということは全然なく、選手ファーストで意見なども出せますし、これはどう思うか、といったことも相談しながら一緒につくり上げていけるチームだと思います。
PFUはほんとうに明るくて、コート外でのコミュニケーション力はとても高いと思います。どちらかと言うと外国人寄りで、アメリカやブラジルでも食事中の会話などは大事にしていたので、そういう面ではすごいな、と感じています。ですが、やはり若い選手も多いからか、試合やゲーム形式だとコミュニケーションのうまくいかない場面が出てくることがあってギャップを感じたりもしています。ち密に合わせていけばいいプレーができそうな、ポテンシャルの高い選手が多いですが、コートの中でどう発信していくかは一人一人が勉強していく部分だと思います。
馬場監督も練習中のコミュニケーションなどを大事にしており、プレーどうこうよりもまずは発していこう、と。自分の意見や考え、思ったことをどんどん言う、それがプレーにもつながってくるから、と日頃からよくおっしゃっています。そこは私も培ってきたものですし、やってきたことを生かしていけたら、と思いながらやっています。
トスは「海外だから、日本だから」ということはあまりなく、どこでやってもそんなに変わらないです。いつも「その選手」の最高打点や、「その選手」がいちばんいいところで打てることを意識して上げています。テンポや高さの差も少しはありますが、そこはそれほど気にしていません。
海外ではトスに対して要求されることは少なくて、アメリカでは「自分が(悪い)」、と言われることが多かったです。「もう少しこうするね」と言っても「全然大丈夫」みたいな。自分に矢印が向いている選手がすごく多かったと思います。うまいからカバーもできるし、この範囲なら打てる、そういう自信を持っているんだな、と感じました。年齢的にも私は中間か下のほうでしたので、気楽に上げさせてもらっていました。ここでは日本人最年長ですので、プレッシャーや責任などは今のほうが大きいと思います。
SVリーグは体力的にきついとよく聞きますが、まだそこは自信があります。昨季はあまりスタメンで出られず、試合経験を増やしたいという意味も込めて帰ってきたので。たくさん試合ができることは自分のプラスになるととらえています。
今季は今まででいちばんいいパフォーマンスを出したいと思っています。体をつくり、課題を克服しながらリーグを迎えて、結果はいろいろあると思いますが、自分のパフォーマンスや気持ちの面で、プロになってから今までのシーズンで、いちばんいいコンディションで臨めるリーグにしたいと思います。
SPALDINGさんの新ユニフォームはほんとうに、薄さをいちばん感じていますね。通気性がよく、涼しいこと、軽く感じる点がとてもいいですし、あとずっとノースリーブでやっていましたが、袖があっても気にならなくて。そこもすごいなと思いました。