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東京GB後藤陸翔が近畿大で着けた背番号「11」の秘話。WD名古屋のあの先輩に「もらったんですよ。ください、って」

  • 大学生
  • 2024.01.22

持ち前の熱さを全開にして、コートに立つ

 

 

バレーボールをするために、ここにきた。その思いで通じたからこそ

 

 お互いの声を聞くかぎりは、2人の間に熱い絆を感じさせるが、実際のところ先輩側が抱いた第一印象は「変なやつ」。中野の記憶はこうだ。

「陸翔は高校時代から愛媛のスーパーエースで、全国的にも知られた存在で。こちらとしては入学前から早よ合流してほしい、って言うてたんです。でも、いざ来て一緒にやってみたら、ストイック過ぎて引きましたもん」

 

 後藤自身は、おそらく誰が見ても人懐っこい性分だ。一方で、バレーボールになると人が変わる。

 近畿大は、部活は部活であると同時に、プライベートはプライベートで十分に時間がある、という風土だった。だが中野の目に映る後藤の姿は、それを許さないもの。

「もちろんバレーボールに対しては、僕らも真剣ですよ。でも、遊ぶ時間も許容されていることが、おそらく陸翔は受け入れられなかった。『自分はバレーボールをするために、このチームに来たのに』という雰囲気がめちゃくちゃ出ていましたから。それくらい、ストイックだったんです」

 

 とはいえ、コートに立てばコンビを合わせながら、一緒に勝利を目指す。そもそも寮生活でともに過ごす時間も長い。衝突しかねない空気も、いつしか解消されていた。

「結局のところ、陸翔自身はそんなに変わっていないと思います。別にそれを僕たちは嫌うわけでもなく、接し方を変えたりすることもない。やっぱりみんなバレーボールをするために来ているわけですから。それに、1年生であろうと、プレー中はお手本になるような存在だったので」

 

 

中野も一人のプレーヤーとして後藤に一目置いていた

 

 

最終学年も懸命にバレーボールと向き合った末に

 

 それから3年が経ち、後藤がキャプテンを務めた2023年度。近畿大は黒鷲旗でVリーグのチームから金星を挙げ、関西大学リーグは春秋制覇、西日本インカレは準優勝と好成績を残した。そのシーズンを過ごすなか、後藤が大事にしていたことがある。

「自分がどれだけ戦いたいか。いちばんはその気持ちでした。周りと同じ練習量じゃだめ、人一倍練習しなきゃ、って」

 

 例えば、チームが週3日で設けているトレーニングも、強化するポイントを把握したうえで自分は週5日に。最終学年の春先にようやく手応えをつかんだとはいえ、サーブレシーブは決して満足することなく磨きをかけ続けた。元から備わるストイックさもあったが、後藤自身は“ハードワークする中野”の姿を思い返しては、その背中を追い続けていたのである。

 そうして臨んだ自身4度目の全日本大学選手権大会。早稲田大との準々決勝の前には中野から「今日はいけよ」というエールが届き、ベスト8だった先輩越えを目指す。だが、あえなく敗れ、後藤にとって最後の全日本インカレは幕を閉じた。

「(ベスト4に)いけなかったのは悔しいですけど、少しは倭さんに近づけたかな。返信は『負けました。』でいきます(笑)」

 日本一を目指していた以上、悔しさはぬぐえないが、その表情からは達成感が見てとれた。

 

最後の全日本インカレはベスト8で閉幕。思いを後輩たちへ託した

 

【次ページ】学生生活最後の公式戦で後藤が受けたサーブと、中野にかけられた言葉

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