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春高2024

富士通・中川/グレイテストショーマンは永遠に

  • 編集部取材
  • 2019.05.05

 稀代のバレーボーラーがコートを去った。国内リーグでは2部に相当する、V.LEAGUE DIVISION2(V2リーグ男子)の富士通カワサキレッドスピリッツのアウトサイドヒッター、中川剛のことだ。5月1日から丸善インテックアリーナ(大阪市中央体育館)で開催されていた第68回黒鷲旗 全日本男女選抜大会で引退した。

■中川剛/グレイテストショーマンは永遠に

 中川の一挙一動は、これまで多くの観客を沸かせ、魅了してきた。

 

 例えば、自らの得点シーンでは、コートを駆け回り、趣向を凝らしたパフォーマンスで喜びを表現した。試合中、アップゾーンで控えている時には、すぐそばに陣取るボランティアの学生たちを巻き込んで、得点時のセレブレーションを演じた。タイムアウトの円陣で監督が話している時でさえ、スタンドから「中川さぁーん!!」との声が上がれば、すぐさま振り向いて手を振り、応えてみせた。

 

 V2リーグがV・チャレンジリーグの名称であったころから、そのスタイルはファンの中でも知れ渡っており、リーグにおける一つの“見どころ”でもあった。

 

 そこには、富士通がモットーとする『明るく、楽しく、そして強く』と、彼自身のこの競技に対する思いがあったから。

 

 「1点ごとに、チームの仲間やファンと喜べる瞬間が25点分、もっとも多ければ5セットあるわけでしょう。一試合の中で、それだけあるのはバレーボール以外ないと思う。だから僕は、このスポーツが好きなんです」

 

 “大好きなバレーボールを多くの人と分かち合いたい”、そんな願いが、時にコミカルに映る姿に込められていたのである。

コート上では全身で感情を表現

ファンを魅了した『グレイテストショーマン』

 

 幼少期から騒ぐのが大好きで、それはバレーボールに出会ってから、そして、キャリアを終えるまで変わることはなかった。V.LEAGUEでオールスターゲームが開催されるようになってからは、ファン投票で出場選手が発表されていないうちから、「どうしよう!?」と胸を弾ませていた。むろん、出場すれば誰よりもコートではしゃぎ、観客を存分に楽しませた。『バレーボール界のグレイテストショーマン』、そんな呼び名がつけられたこともあった。

 

 最後のシーズンとなった、2018-19V2リーグの開幕戦では途中出場ながら、相手スパイクを抜群の反応で拾い上げて、チームのムードを一気に押し上げた。その存在感に仲間たちは「さすが」と言ったものである。

 

 また、その試合前には対戦相手である、つくばユナイテッドSun GAIAの瀧澤陽紀とダンスバトルを繰り広げる一幕も。他チームからも一目置かれ、中川も自身のツイッターでは、富士通以外の選手紹介をするなど、独自の手段で、バレーボールの、そしてリーグの面白さを表現し、発信し続けた。

 

 チームが引退を発表してから黒鷲旗までのあいだは、社業との両立もあり、練習日数は週で2回ほどと、それ自体はこれまでと変わらなかったが、「みんなとバレーボールができるのも、あと数えるくらいか」と寂しさにかられた。と同時に、黒鷲旗という大きな舞台でプレーすることを何よりの楽しみにしていた。

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