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夜勤明けの練習に1年のブランク!? “ハコヅメ”Vリーガー 警視庁フォートファイターズのリアル

  • 編集部取材
  • 2022.01.27

<即戦力ルーキーとして期待される齋藤(写真左端)>

 

一人前になってからチームに合流

 

 今季からチームに入団した齋藤も、そのことを実感している。実は、齋藤は大卒2年目だが、入庁1年目は警察学校に入学し、そこから一度は警察署に配属され、再び警察学校へ。これは、バレーボール部員全員が通る道だという。

 

 丸々1年間は、練習はおろか、まったく競技もできない。齋藤は「そうした期間を経て、警察官として一人前になってから、ようやくチームに合流して練習に参加できるんです。やっとバレーボールができる、といちばんにうれしさがこみあげてきました。やはりバレーボールがしたくてたまりません。自分にとって唯一の趣味であり、息抜き。もちろんVリーグを戦う以上は、チームが勝つために頑張りたいと考えています」と話す。

 

 1年のブランクがあった齋藤は昨年11月28日(日)に、駒澤大時代の同期で、富士通に所属する谷平拓海とネットを挟んで再会。「初対決でした。どうしても自分はバレーボールと離れた期間があったので、谷平は別格に強かったです。追いつけるように頑張ります」と意気込んだ。

 

<齋藤は表情豊かにコートを駆け回る>

 

コートの内でも外でも緊張感と戦う

 

 齋藤の場合は、先輩の阿部やほかの選手たちのいる機動隊にまだ合流しておらず、いわゆる交番勤務に携わっている。

 

 「皆さんが見るような交番で、警察官をしています。町を警戒したり、落とし物があれば対応したり、といった業務になります。

 

 さまざまな110番が入るのですが、一見ささいなこともあれば、重大な事案もあります。それらは実際に私たちが現場に行かないことにはわかりません。ですので、精神的にもずっと気を張っているような感覚ですね」と齋藤。

 

<チームロゴには警視庁のマスコットキャラクター、ピーポくんが>

 

 コート上では相手の攻撃をブロックする彼らも、コートを離れれば、私たちの生活を守ってくれているのだ。そして、そこには緊張感が伴っている。機動隊に配属される前は交番勤務を経験(このルートも全員が同じ)していた阿部は振り返る。

 

 「110番が入って、交番にいる全員がダッシュで現場に駆けつけたこともありました。

 今いる機動隊も警備が仕事ですが、朝だろうと深夜だろうと、いつ悪さをする人が来るかわかりませんので、その緊張感は常に持っています」

 

 現役Vリーガーが警察官の姿をして警戒している。気づいたかたは思わず声をかけてしまうかもしれない。実際に、そうした経験もあったそうだが…。

 

「知り合いが自分に気づいたのですが、『今は仕事中なので、勘弁してほしい』と(笑) 仕事中は一瞬の油断が命取りになるので」(阿部)

 

 コート外でも、彼らは戦っているのだ。だから、もし気づいたかたはそっと見守り、そして試合同様のエールを心の中で送ってもらいたい。

(文・写真/坂口功将〔編集部〕)

 

<ゲームでは緊張感を力に変えて、勝利を目指す>

 

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