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【プレイバック!】エース木村沙織、MVP荒木絵里香 東レが4度目の優勝【2011/12シーズンVリーグファイナル】

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  • 2022.04.08

 

東レ強し! 5シーズンで4回目のV

女子優勝東レアローズ(2年ぶり4回目)

 

シーズンを通して、黒星はわずかに3つ。しかし、それらの負けを東レはおろそかにしなかった。自分たちの甘い部分から目をそらさず、「どこよりも戦い方を知っている」決勝の舞台で勝利するために、一人一人が役割を理解し、それをまっとうしきった。

 

敗戦をムダにすることなく全員が役割を果たす

 

 全日本の主力である荒木、木村を軸として、中道や迫田、濱口ら頂点を知る強力なメンバーが周囲を固め、高田や二見ら、新しい力もそれぞれが持てる力を発揮してチームに貢献した。

 

 東日本大震災の影響で中止となった昨季は2位。“史上初の4連覇”を逃した、その悔しさを忘れることなく、レギュラーラウンド、セミファイナルラウンドは苦しみながらも首位で戦い抜いた。

 

 「レギュラーラウンドは18勝3敗で、結果的には1位で走ったように見えますが、ほんとうにその力があったとも思っておりませんし、落とした3戦ではチームの雑な部分やミスなど、弱いところが出ていました」と菅野監督は振り返る。

 

 5年前の初優勝時は今季デンソーにいたデラクルス、その翌年は中国の趙という、いずれもレベルの高い外国人エースがいたが、その2シーズンの間に、現在の主力たちも勝ち方やチームの作り上げ方をしっかり吸収し、学ぶことができていた。ファイナルを戦えなかった昨年は連覇が途切れたものの、今季は全日本メンバー抜きで戦った昨秋の山口国体で優勝。若手の底上げもあり、やはりこの大一番で発揮された実力に間違いはなかった。

 

 今季1つのカギとなったのは、フリールの加入によるサイドの人選である。当初は迫田が新たにサーブレシーブに取り組みながらレフト木村の対角に入り、フリールはオポジットを務めていたが、チーム全体により安定感を求める中で、迫田と高田が交代となった。

 

 ディフェンス力に優れる高田と木村の対角は機能していたが、フリールは仲道が上げる速いトスを打つタイプではなかったため、苦戦する場面もあった。それでも、「いつでもいけると思っていた」(菅野監督)という迫田を控えに置く安心感の中で、次第にマッチしてチーム力は向上。結果的に途中出場の多かった迫田は「途中からでも出させてもらうことに感謝していましたし、せっかく出るからにはどんな形であってもチームに貢献していきたい、と思っていました」と素直な活躍で勝利を引き寄せた。

 

 フリールが故障欠場したセミファイナルラウンド以降はその迫田がオポジットに入り、さらに大詰めの場面では「今は相手にもプレッシャーになると思った」(菅野監督)という1年目の二見をミドル宮田に代えて投入した。そうなれば、役者ぞろいの先輩たちに迷いはない。荒木が止めれば濱口が拾い、中道がつなげば木村が決めて、結局2月12日、パイオニア戦での敗戦を最後として、東レはその後の全試合を勝利で飾ったのである。

 

 今季はケガでの途中出場もあり、なかなか調子が上がらなかったエース木村。決勝戦の1セット目、23-20とリードしながらスパイクミスと被ブロックでピンチを招いた自覚は試合後も残っていた。

 

 「自分が1回で切っていれば、なんてこともない場面だったので、とても反省しています。でも、ああいう状況に立ってしまった時に『絶対に自分たちならできる、勝てる』と、全員がチームで仲間を信じることができていたので、勝てたのかなぁ」

 

 そう話した木村は今季、レギュラーラウンドでサイドのトスを速くして打っていた。しかし納得のいかない部分があったため、セミファイナル以降は以前どおりの高いトスに戻し、相手ブロックを見て打つようにした。3セット目の最後、25点目は相手ミスだったが、その前の3得点はすべて木村が決めている。

 

「これからオリンピック予選もありますが、しっかり自分の持っているものを伸ばしていけるように頑張ります」

 

 黄金時代へ。東レの、そして日本の大黒柱が笑顔で締めくくった。

 

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