gv-logo

春高2024

春高欠場の就実高 金蘭会高とのエキシビションマッチへ 山あり谷ありの1年を笑顔で締めくくる

  • 学生バレー
  • 2023.03.12

 

今年1月の春高を欠場し、大会3連覇を逃した就実高(岡山)が、3月12日(日)に金蘭会高(大阪)とエキシビションマッチを行う。このエキシビションマッチはグリーンアリーナ神戸(兵庫県神戸市)で開催される久光スプリングス対埼玉上尾メディックスの試合前に行われ、当日のチケットがあれば観戦可能。就実高にとって、山あり谷ありの1年を振り返る

 

国体の準決勝で大阪府に勝利し、喜ぶ選手たち


徹底した感染症対策


 無人のコートに選手たちが現れることはなかった。1月5日、就実高の三連覇は戦わずして潰えた。出場全チームを対象に行われた抗原検査で陽性者が認められ、欠場が決定。どのチームにも起こりうる事態とはいえ、「まさか就実が…」と信じられなかった。

 見えない敵への対策に、一切の妥協はなかった。日々の手洗いやうがいはもちろん、マスクをとって練習をするようになってからも、水を飲む際には必ずうがいをした。寮生だけでなく、自宅から通う選手たちも黙食を徹底。これまでには「自分が感染したときに、娘を濃厚接触者にしたくない」とふだん車内で食事を取る保護者もいたという。

 昨年の春高予選を終えた後には、西畑美希監督が「バレーのためなら徹底できる選手もすごい。家庭内感染をしたのは1人2人いるけど、活動をしていて感染者は出ていません」と語るほど、成果は出ていた。


「(大会などの遠征時に)ホテルの部屋に着いてまず行うのは、ドアノブやリモコンの消毒。そこまでやるんか、ということをするのが大事でしょう。
 保護者の方も、バレーのためにいろんな面で協力してくれているから、ほんとうにありがたいです。いろんなことを我慢して、犠牲にしてやっている。だからやっぱり勝たないといけないんです」


インターハイ後から上昇気流に乗っていた2022年


 昨年は深澤めぐみ(久光)、深澤つぐみ(東レ)を擁して春高連覇を果たし、周囲からは3連覇を期待されたシーズンだった。だが、苦しい日々が続く。1、2年生中心のメンバーで臨んだインターハイは、八王子実践高(東京)に逆転負けを喫し、3回戦敗退。国体中国ブロック大会も2位通過と、結果を残せなかった。

 

昨年のインターハイは3回戦敗退。選手たちは肩を落とした

 

 停滞感漂うチームを、何とか変えないといけない。1年生時から正セッターを務めるも、インターハイ後からキャプテンを外れていたセッターの岩本沙希は、国体を前にキャプテン再就任を西畑監督に直訴。チームに一体感が生まれたのは、それからだった。国体準決勝では、インターハイで優勝した金蘭会高(大阪)が中心の大阪府に勝利すると、まるで優勝したかのような歓喜の輪ができた。 

 最後の春高を前に、岩本は「『最後だから全部出し切ろう』とか、『ミクさん(西畑監督)のために最後まで全員でやろう』と何回も3年生で話をして。まとまってきていると思います」と実感。西畑監督も 「せっかく選手がここまでやる気を出して、伸びてきました。3連覇とは思わずに、このチームの最大を出したい。いいチームになってきましたよ」と言うように、手応えはつかんでいた。

 だが、そのときが訪れることはなかった。連覇を成し遂げた過去2年間はともに無観客開催。今大会は準決勝以降が有観客開催とあって、保護者たちに晴れ姿を見せられる可能性もあったが、その機会も奪われた。



 1年生ながらエースナンバー「4」を背負う福村心優美は、大会の欠場が決まり、数日間は放心状態が続いたという。だが、「就実が出た大会では春高で3連覇できるように」とリスタートし、1月の県新人大会、2月の中国新人大会ともに優勝。西畑監督が「ガンガンいきます」というインターハイに向け、好発進を飾った。
 金蘭会高とのエキシビションマッチは、3年生を含めたチームで戦える最後の舞台だ。福村は言う。「1年生でエースとして打てたのは岩本さんのトスのおかげ。絶対に勝ちたい」。それぞれの思いを、コートで表現する。

 

入学直後からエースを務める福村。成長した姿で、3年生を送り出す


金蘭会高 直近3年間で4戦4敗の天敵にリベンジへ


 対する金蘭会高は、3年生の入学以降、3年間で就実高に4戦4敗。準々決勝で対戦した21年の春高を除けば、同年のインターハイ、22年の春高、国体とすべて準決勝で敗れ、頂点への道を断たれている。粘り強い守りに何度も阻まれたエースの上村杏菜は、その強さのゆえんを誰よりも知る。
「ほかのチームは多少コースを変えれば決まることもありますが、就実は1本で決めさせてくれない。リベロの(井上)凜香のレシーブがうますぎて全然落としてくれへんから、めっちゃやりにくいです。自分たちと試合をするときは、全然気合いが違うな、とも思います」

 天敵とも言える相手だが、アンダーエイジカテゴリー日本代表でともにプレーした選手も多く、コートを離れればよき仲間。春高での辞退に心を痛めたのは、上村も同じだった。「もちろん、就実のメンバーほどではありませんが、就実がいないことに対して自分も落ち込みました」。だが、私情はコートに持ち込まない。 


「(欠場になった春高の)悔しさを晴らしにくると思いますが、自分たちは就実には負け続けてきているので、リベンジができたらと思います。最後の最後、楽しみながら、負けたくない気持ちも持ちながら戦います」

 

 特別な一戦で勝ちたいのは、就実高だけでない。

 


コートを離れれば仲のいい両校の選手たち。2月の全日本ジュニアオールスタードリームマッチにて、笑顔を見せる。写真左から平野シアラ、扇谷葵衣、上村(以上金蘭会高)、井上(就実高)、西村美波、大森咲愛(以上、金蘭会高)、福村(就実高)、西川 凜、花岡千聡(金蘭会高)、河本菜々子(就実高)

 

文/田中風太
写真/山岡邦彦、中川和泉(NBP)、編集部

【エキシビションマッチ】
3月12日(日)10:15試合開始
就実高 vs. 金蘭会高

※同日13時から行われる久光スプリングス vs. 埼玉上尾メディックスの観戦チケットで観戦可。ファンクラブ会員優先入場9:30(ダイヤモンド会員より順次)、一般入場は9:45から

※プレミアム席以外の観客は2階指定されたエリアで観戦可能

※フジテレビNEXTで生放送

10:05〜 エキシビションマッチ 解説 :栗原恵

13:00〜 久光スプリングス vs. 埼玉上尾メディックス  解説 :新鍋理沙

 

【次ページ】両校の選手も出場した全日本ジュニアオールスタードリームマッチの写真

  • 男子日本代表応援サイト2024
  • 女子日本代表応援サイト2024
  • 北海道インターハイ2023
  • NBPオンラインショップ

pagetopbtn