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【バレー】「最後の一球だと思って」城南中 主将が最後の全国大会で涙のサービスエース 相手のマッチポイントで

  • 編集部取材
  • 2023.09.08

 

アタッカーたちと密にコミュニケーションをとりながら、攻撃を組み立てた⑥中村キャプテン

 

あとがない状況からキャプテンが決めた

 

 じりじりと追い上げるも、22-24と先に相手にマッチポイントを握られた。それでもあきらめず、寺岡が得点してサイドアウト。中村にサーブ順が回ってきた。

 

 「すごく緊張しました。でも3年間やってきて、これが『最後の一球だ』と思って、しっかりと打つことができました」

 

 きれいな弧を描いた打球は、足が固まった相手レシーバーの手前に落ちる。同点に追いつくサービスエース。歓喜する仲間たちを前に、もう一度エンドラインに立った中村の目には涙が浮かんでいた。

 

 その姿に中山雄太監督も胸を熱くした。

 

 「大会を通して3年生が当たっていたんです。きっと活躍するだろうなと思っていましたので、私もうれしかったです。

 

 3年生は初心者も多い学年で、今回の全中でも登録メンバーから外れた部員はいました。それに、あれだけのプレーをする2年生ばかりが注目されるなかで、肩身の狭い思いをしてきました。最後はやはり、活躍してくれましたね」

 

サービスエースを決め、もう一度サーブに。その目には涙

 

 

「あの1点で報われたな」(中山監督)

 

 試合後、中村はほほえみながら、あの場面を振り返った。

 

 「涙が出てきたのはサーブが決まった瞬間です。うれしい、それしかありませんでした」

 

 一度は同点に追いついたものの、そこから寺岡がブロックされ、最後は相手エースの得点を許し、第3セットは24-26。日本一への挑戦は幕を閉じた。

 

 セッターであり、2人のエースにボールを供給し続けた中村は「2年生でレギュラーになってから、肉体的にも精神的にも追い込まれるときもあって、それはすごくきつかったです」と明かした。けれども、最後は「しっかりと戦えたのでよかったです」と晴れやかに言う。

 

 「勝ち負けもそうですが、上手い下手関係なく一生懸命やることの大切さを後輩たちに見せてくれた」と3年生に感謝してやまない中山監督は、今夏最後のサービスエースを思い返し、こう語った。

 

 「きつい思いをしてきたキャプテンも、あの1点で報われたな、と思いました」

 

2年生にスポットライトが当たるなか、中山監督は「3年生たちの存在あってこそ」と感謝した

 

(文・写真/坂口功将〔編集部〕)

 

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