令和7年度全国高等学校総合体育大会バレーボール競技の部京都府予選会(男子)最終日が6月8日(日)に福知山三段池公園体育館(京都)で行われた。ライバル洛南高を下した東山高が、2年ぶり17回目の本戦出場を決めた
豊田総監督が監督に復帰
堅い守りから多彩な攻撃
相手のサーブがエンドラインを割る。コートに滑り込み、感情を爆発させる仲間たちの横で、2年生エースの岩田怜緯は嗚咽を漏らした。JOC杯では最優秀選手賞にあたるJOC・JVAカップに輝き、U16日本代表、そして全国中学生選抜でもプレー。鳴り物入りで入学したが、昨年度は全国大会に出場することはできなかった。ようやく大舞台の切符をつかみ、「ほっとして涙が出ました」と笑みを浮かべた。
決勝の相手はライバルの洛南高。昨年度からリベロ以外のスタメンが変わった相手に、第1セット序盤から畳みかけた。岩田のスパイクやブロックで4-1とすると、その後もブレイクの連続。中盤にはセッター山上晴太郎のサーブから6連続得点で19-9と突き放した。第2セットは8-10と序盤こそリードされたが、相手のミスから5連続得点。終盤には岩田のスパイクも決まり、終わってみれば2セットともに相手を20点台以下に押さえる完勝だった。
岩田はもちろん、小澤風雅らのクイックも光ったのは、セッターの山上のトスワークがあってこそ。昨年のJOC杯では東京都選抜を日本一に導いた小林蒼昊の加入により、山上はこの1週間前にレギュラー落ち。しかし、「チームに迷惑をかけられないし、自分がしっかり頑張るしかない」と奮起した。その姿勢に、豊田充浩監督は「やっぱり3年越しのセッターなので、山上を信じて、覚悟を決めていこうかな、と。最後までほんとうに頑張ってくれたことが、いちばんうれしかったです」と目尻を下げた。
昨年の春高府予選まで指揮を執った松永理生前監督がサントリーサンバーズ大阪のアシスタントコーチに就任し、豊田総監督が監督に復帰。まずは2年前の国体(現・国スポ)以降遠ざかる全国の舞台を踏むべく、「もう一回、レシーブの強い東山を」と伝統の守備に力を入れた。この日も攻撃にリズムを生んだのは、その守りから。豊田監督は「地道なレシーブ練習の成果が出てきた」と少しずつ手応えをつかむ。
本戦で準優勝した2年前のインターハイ府予選以来で、優勝後恒例の儀式「カモンロッソ」がアリーナに響き渡った。3年生以外は初めてで、どこかぎこちなさもあったが、再演のチャンスはすぐに待っている。3年ぶりのインターハイの頂点を目指して、指揮官は「また(カモンロッソを)見たいですね」と優しくほほ笑んだ。
洛南高
エースが定まらず完敗も
伸びしろは大
リベロの川瀬誉以外はレギュラーが総入れ替えとなった洛南高は、エースポジションが定まらないままこの日を迎えた。フルセットで勝利した準決勝の北嵯峨高戦では、アウトサイドヒッターには森井一竜に加え、岸田和佐と小葉松健を起用。細田哲也監督は「切磋琢磨してどっちも使いたいぐらいの迷いだったらいいんですけど、消去法的なポジション争いだったので。そこでチーム力を上げるのがかなり遅れましたね」と振り返る。決勝は森井と小葉松の対角で戦ったものの、東山高にストレート負けを喫した。
今大会では課題が多く見つかったが、スタメンの多くは2年生で、細田監督が「平均身長は歴代でいちばんだと思う」と語るように、1年生には高いポテンシャルを秘めた選手がそろう。小葉松は「二段トスを全部決めきれるように。試合を通して安定できるようにして、春高予選では勝ちたいです」とリベンジを誓った。
6月8日の試合結果
・決勝
東山高 2(25-13、25-16)0 洛南高
・3位決定戦
花園高 2(25-23、25-22)0 北嵯峨高
・準決勝
東山高2(25-16、25-17)0 花園高
洛南高2(23-25、25-21、25-20)1 北嵯峨高
文・写真/田中風太(編集部)
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