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U16日本代表入りとJOC杯優勝、そして選抜落選。ドリームマッチ出場の土井颯太が振り返る2025年と次のステップへの思い

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 男子U17日本代表が120日から味の素ナショナルトレーニングセンター(東京)で強化・選考合宿を行った。そこには昨年7月の「2025男子U16アジア選手権大会」に参加し、今年8月にドーハ(カタール)で開催予定の「U17世界選手権大会」の出場権獲得に貢献した面々も顔を並べている。

 

 

土井颯太(どい・そうた/大村中〔長崎〕3年/身長190㎝/最高到達点320㎝/アウトサイドヒッター、オポジット)

 

 

 ただ、そのうちの一人、土井颯太(大村中〔長崎〕3年)はU16アジア選手権大会を振り返ると、唇をかんだ。

 「メンバーには選ばれましたが、スタメンでコートに立てなかったので。また、U16日本代表のころは自分から周りに声をかけることや、それほど堂々としたプレーができませんでした」

 

 中学2年生時から全国中学生選抜(以下、全中選抜)の選考合宿に名を連ね、そうして3年生時にはU16日本代表入りを果たした。だが、攻守で絶対的な柱を担う大村中では全国大会出場が果たせなかったことも悔しさに輪をかけた。その分、秋からのJOCジュニアオリンピックカップ全国都道府県対抗中学大会(以下、JOC杯)へ向けた長崎県選抜での活動には並々ならぬ思いで臨んでいる。そこでは自分からコミュニケーションを図ること、そして、ここぞの場面で得点を取りきる力を磨いてきた。

 

 

昨年末のJOC杯では長崎県選抜でキャプテンを担った

 

 

JOC杯で優勝を決めるスパイクを放つ。自信を持ってトスを呼び込めるように

 

 やがてJOC杯本番では長崎県選抜を11年ぶりの優勝に導く。自チームでは主にアウトサイドヒッターだが、ここでは左利きを生かしたオポジットとして得点を重ねた。けれども愛知県選抜との決勝では、なかなかトスが上がってこなかったことを嘆いた。

 「ずっとセッターへ『自分にトスを持ってきて』と伝えていたのですが、全然上げてくれない。最後のタイムアウトでも『最後の1点ぐらいは自分に持ってこい』と言いましたから(笑) トスを呼んでいるけれど上がってこなくて、周りのアタックのフォローに回ることに。それも大事な役目ですが、自分の仕事ができていない…、という心境でした」

 

 セッターの中村拳人(喜々津中〔長崎〕3年)は、積極的にセンターエリアからの攻撃を絡めたトスワークを強みとしており、だからこそサイドアタッカーの決定力が高まるという考えだった。そのスタイルを優勝する瞬間までぶらさなかっただけであり、それが長崎県選抜の強みであったのは土井も認めるところ。一方でエースアタッカーとして生きてきた一人の人間からすれば、己のエゴとの狭間でジレンマが生じるのも当然だ。

 そんな思いを最後の最後にようやくくみ取ってか、中村は24-19のチャンピオンシップポイントからライト方面にいた土井へトスを託した。

 

 「うわぁー、やっときた!! という感じでした。そこでは予想していたとおり、相手(愛知県選抜)もしっかりと2枚ブロックを敷いてきましたし、チームとして『絶対に拾い上げる』という意地が見えましたから。だからこそ、ここは何があっても自分が決めなければいけない、という強い意志が自分を動かしました」

 スパイクしたボールは2枚ブロックの横を抜け、構えていたレシーバーの腕をはじきとばしてコートの外へ。2025年の集大成を飾るにふさわしい一打となった。

 

 「悔しい思いをたくさん味わってきたけれど、いろんな方々の支えがあったからこそ日本一になれたと思うので。大きな恩返しができたことがうれしかったです。

 それに試合中でも、ここは決めたいと思った場面で『自分に持ってこい』『ハイセット(二段トス)は絶対に決めるから』と自信を持って言えるようになりました」

 JOC杯で手にしたのは日本一の金メダルと、個人に贈られる大会特別賞のメダル。それは成長の証しともいえた。

 

 

大会特別賞の表彰を受けた土井(左端)

 

 

全中選抜の海外遠征メンバー入りはならずも、課題と向き合う日々

 

 身長190㎝の体格と最高到達点320㎝を生かしたパワフルなアタック。それ以上に土井の強みは、ときに悔しい現実に直面してもしっかりと向き合い、乗り越えてくるところにある。今もそうだ。JOC杯では輝かしい成果を収めたが、目標としていた令和7年度の全中選抜入りはかなわなかった。

 「メンバー入りができなかったのは、自分に課題があったからだと思うんです。そこを改善しないかぎり、日の丸をつける選手にはなれません。ですが、その現実に対して自分が次からの練習でどう取り組むかによって、これからを変えることはできるはず。そこは自分自身で考えながら過ごしています」

 

 課題について土井自身が挙げたのはレシーブ力。自チームではアウトサイドヒッターとしてレシーブにも入っていたが、それが十分なレベルに達していなかったと実感している。だからこそ、今回のU17日本代表の合宿では守備力アップにも励んだ。

 U17世界選手権は相手の高さもパワーも、アジアとまるで違うと想像しています。打点の高さを生かしてアタックを打つことはもちろんですが、やはり日本は拾ってつなぐバレーボールをしないと勝てないと思うので。この合宿からレシーブを頑張っています」

 

 全中選抜の落選と向き合い、次に目を向けるはカタールの地。昨夏の悔しさもまた、ここではカンフル剤になっている。

 「今年の国際大会では絶対にスタメンでプレーしたいと思っています。なので、この合宿からどれだけ自分をアピールできるかが大事になります」

 

 アピールする場としては、213日(金)〜14日(土)に東京で開催される「第23 2026全日本ジュニアオールスタードリームマッチ」も。これは高校生世代の育成事業だが、土井は中学生選手4名の一人に選ばれたのである。

 4つの枠に入れたことをうれしく思います。ですが、それだけに満足することなく、高校生相手に自分がどれほど通用するかを測る、いい機会にしたい。その舞台を経験できることがうれしいですね!!

 次世代を担うハードパンチャーはこれからも、自身を成長させるビッグチャンスを自らの努力で射止めていく。

 

 

 男子U17日本代表の合宿ではレシーブに励む姿も見られた

 

(文・写真/坂口功将)

 

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