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身長194㎝のセッター、マサジェディ阿蘭ら「すごく魅力的な大型チームがつくれそう」竹内裕幸監督が“豊作”世代と臨むU18アジア選手権

トスを上げるマサジェディ阿蘭

バレーボール男子U18日本代表候補が、強化選考合宿を317日(火)から21日(土)まで、ひがしんアリーナ(東京)ほかで行った。新2年生を中心に、将来性の高い選手たちがそろうこの世代。竹内裕幸(星城高〔愛知〕)監督が、今回の合宿の狙いを語った

 

 

トスを上げるマサジェディ阿蘭

 

 

テーマの一つが

大型セッターの育成

 

 5日間にわたる合宿をあと1日とし、竹内監督の表情には充実感がにじんでいた。1学年上の全国高校選抜候補チーム、そして昨年度全日本インカレ王者の早稲田大などとの練習試合でも、新2年生中心の布陣は強さを発揮。昨年11月から3度目の合宿で、チームとしてのかたちも見えてきた。

「それぞれの役割を明確に伝えることによって、だいぶ力を発揮できていました。組み合わせや連係を見ながら、ベストなメンバーで戦いに向かう。その方向性が見えてきたかなと思います」

 

 田中洸(川内商工高〔鹿児島〕)や西村海司(清風高〔大阪〕)ら春高でインパクトを残したエース、さらに身長198㎝の沢野陽(小松大谷高〔石川〕)と203㎝の名取遼(開成高〔東京〕)といったミドルブロッカーなど、指揮官も「豊作です」と太鼓判を押すこの世代。その力を引き出したのが、主に身長185㎝以上が招集された大型セッター陣だ。その育成こそが、これまでの合宿を通しての大きなテーマの一つだった。

「本人たちも意識高く練習に取り組んで、ゲームになるかなというところまできたので。すごく魅力的な大型チームがつくれそうだなと思います」

 

 教え子である石川祐希(ペルージャ〔イタリア〕)の高校時代からアンダーエイジカテゴリー日本代表の強化に携わってきた竹内監督。それまで指揮を執った本多洋(崇徳高〔広島〕)前監督とともに、長年掲げてきたのが大型選手の育成だった。

15年前くらいに本多先生と、上手な選手がずっと経験を踏んでいくよりも、今はそうでなくてもいいから、大きい子たちが自信をつけて上(のカテゴリー)にいってほしい、と話をして。2mを超える選手の発掘はこの世代でしないと間に合わないので、まずはアウトサイドヒッターの大型化を図って、その次にミドル(ブロッカー)ですよね。アタッカーたちを、小柄なセッターやリベロが育ててきました。ただ、日本中の指導者がそこへの視点がだいぶ強く根付いたので、次はセッターだ、と」

 

 

サッカーから転向し、高校でバレーを始めた沢野(コート奥中央)。今回の合宿でも潜在能力の高さを感じさせた

 

 

 近年の大型セッターで言えば、「2024男子U18アジア選手権大会」に当時身長187㎝の中村悠暉(中央大2年)が、そして「2025男子U19世界選手権大会」には192㎝の松田悠冬(慶應義塾大2年)が海外でのプレーを経験。ただ、セッターはチームで最もボールを触ると言ってもいいポジション。幼いころからハンドリングのよさが光る小柄なセッターとは違って、スパイカーから転向したばかりなど、まだまだ粗削りな選手も多い。それだけに、目先の結果にとらわれない姿勢がチーム全体に求められる。

「所属チームでは、サイズが小さくて上手なセッターのトスを打っている選手が多いです。(長身セッターのトスは)アタッカーへの負担が大きくなったり、ゲーム練習では20点以降のトスミスが勝敗をわけることもあります。どんなにいいアタッカーがいても、いいトスを上げられないと大きなセッターの心がへこんでいくんですよね。

 でも、ここでは春高で活躍している子たちが、そういった選手たちをバカにしなかったり、その子が”ダメキャラ”にならないような雰囲気がつくれています。このチームには将来の目標があると、それぞれがしっかりと理解できていると思います」

 

高身長セッター陣で

切磋琢磨できる環境

 

 午前の練習が終わり、間もなく午後練習が始まろうとしていたころ。セッターでは身長194㎝(所属する福岡大附大濠高〔福岡〕によると現在は196㎝)と最長身のマサジェディ阿蘭を筆頭に、高身長セッターたちがネット際でリラックスしながらトスを上げていた。マサジェディは、新チームになってからツーセッターの一角に転向。ふだんはなかなか自分と同じような高さの司令塔とは出会えないが、ここでは「お手本にするところもあるし、コートの外から見ていて、ほかの選手を自分に見立てることができます」とセッターとしての学びは多かった。それも、竹内監督の狙いだった。

 

「僕がこの年代を持ち始めたとき、大型セッターを増やしていかないといけないと言っていたころ。ちょうど石川と永露(元稀〔広島TH〕)のツーセッターをユースでやってみたらどうか、と話していました。それで、石川はアタッカー、永露はセッターでバレー人生を選びました。ただ、永露よりも小さいタイプでは深津(英臣〔WD名古屋〕)や関田(誠大〔サントリー〕)、大宅(真樹〔日鉄堺BZ〕)たちがいますが、永露にはなかなか自分と同じタイプの競争相手がいませんでした。

 それを考えると、(マサジェディ)阿蘭もそうですし、この合宿に来ている子たちはこのあといっぱい競争していけばいい。これはミドルも同じことですが、選手層がないとプレーの質は上がっていかないので、まずは層をつくることも大事だと思っています」

 

 ここから4月、6月にも合宿を行い、712日(日)~18日(土)にマナマ(バーレーン)で行われる2026男子U18アジア選手権大会へ。2022年に行われ、3連覇を飾った第14回アジアU18(ユース)男子選手権大会以来の頂点だけでなく、その先の夢も膨らむ。

 

文・写真/田中風太(編集部)

 

 

合宿に参加したU18日本代表候補メンバー

 

 

合宿参加選手は下記のとおり。学年、身長は合宿時のもの

1 柏木陸歩(鹿屋高2年)/OH193

2 古田蒼空(松阪工高2年)/OH194

3 北田 向(星城高1年)/OHS 186

4 栗生澤礼乙(福井工大附福井高1年)/OH197

5 小葉松 健(洛南高1年)/OH 190

6 税所蓮嘉(鎮西高1年)/OH 186

7 西村海司(清風高1年)/OH 181

8 竹内祐一郎(駿台学園高1年)/OH181

9 寺岡蒼大(崇徳高1年)/OH 182

10 松尾寿哉(大村工高1年)/OHMB191

11 奥田優人(小松大谷高1年)/OP 184

12 田中 洸(川内商工高1年)/OP 194

13 マサジェディ阿蘭(福岡大附大濠高1年)/OPS 194

14 齋藤光希(駿台学園高1年)/MB 193

15 沢野 陽(小松大谷高1年)/MB 198

16 滝口太耀(市立船橋高1年)/MB 194

17 名取 遼(開成高1年)/MB203

18 枩田大広(福井工大附福井高1年)/MB 196

19 溝渕冬馬(松本国際高2年)/SL 173

20 遠藤直輝(山形中央高1年)/S 191

21 近藤 翔(浜松修学舎高1年)/S 186

22 橋本宗太(東海大付札幌高1年)/S 189

23 井上大我(崇徳高2年)/L176

24 辻本侑央(東山高1年)/L168

 

監督:竹内裕幸(星城高)

 

<氏名(所属)/ポジション/身長>

※ポジション表記はOH=アウトサイドヒッター、OP=オポジット、MB=ミドルブロッカー、S=セッター、L=リベロ。辻本の「辻」は1点しんにょう

 

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