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春高2026

東京グレートベアーズはクォーターファイナル敗退 重く残った「ほつれ」の正体

  • SV男子
  • 2026.05.08

選手層が厚いからこそ難しかった起用

 2025-26大同生命SV.LEAGUE MENのチャンピオンシップはクォーターファイナルが51日と2日に開催された。愛知県岡崎市の会場では、昨年と同じジェイテクトSTINGS愛知と東京グレートベアーズの試合が行われ、東京GBにとっては両日ともストレート負けという厳しい幕切れとなった。

 

 

東京GBで3シーズン監督を務めたカスパー・ヴオリネン氏。クォーターファイナル後の5月6日に退団が発表された 写真:長尾里絵

 

 

 2日、試合後の会見でカスパー・ヴオリネン監督は今回の敗戦を一身に受け止め、次のように語った。
 
「この2日間を通して、STINGS愛知は我々よりもいいチームでした。それに対してはほんとうに賞賛に値すると思います。彼らのオフェンスもディフェンスも素晴らしかった。サーブに関しては、レギュラーシーズンからギアを一つ上げてきており、そこに対して我々は苦戦を強いられました。今回のこの敗北は監督である私に責任があります。選手はほんとうに全力で頑張ってくれました」

 

 

2戦目では連続エースを含むサーブで5連続得点につなげたSTINGS愛知のトリー・デファルコ 写真:長尾里絵

 

 今季の東京GBは、バルトシュ・クレク、ヤン・コザメルニク、ルチアーノ・ヴィセンティンといった各国の代表経験を持つ選手を補強して期待を集めていた。その脅威は、対戦したSTINGS愛知の真保綱一郎監督も認めるところだった。

「東京GBさんが、個性のあるいい選手たちを次々に出してくるので、なかなか対応は難しかった」

 しかし、真保監督はこうも付け加えている。「事前にスタッフが、各セッター、各アタッカーの特徴もしっかりと調べて、落ち着いてゲームを進められた」と。

 

 

試合後「セミファイナルにたどり着いてほっとしています」と語っていたSTINGS愛知の真保綱一郎監督

 

 


 東京GBは選手層の厚さを称賛される一方で、実際のゲーム展開では2戦ともクレクとヴィセンティンにトスが集中し、展開がある程度読まれやすくなっていた。2戦それぞれでのアタック本数は、クレクが23本と24本、ヴィセンティンが両日とも27本。一方で、アウトサイドヒッターの後藤陸翔は両日ともアタック8本にとどまっている(GAME1は途中交代)。選択肢が多いはずのメンバーを抱えながら、攻撃パターンが絞られていったことが、結果として相手に落ち着きを与える要因の一つになった可能性はある。

 

 

多くのSTINGSファンで黄色く染まった会場。両チームへの声援で会場は盛り上がった


 こうした「層の厚さ」と「起用の難しさ」という課題について、ヴオリネン監督は次のように振り返る。
 
「選手層の厚さは我々にとってアドバンテージになる一方で、起用の難易度が高くなる。そのため、選手層の厚さが“よくも悪くも”というかたちになり、結果的にうまくいかなかった。ただ、それは監督の責任だと思っています」

 

 

2戦ともSTINGS愛知の的確なブロックが光った 写真:長尾里絵

 



「安定」を求めた決断――スタメンを固定した理由

 東京GBは、レギュラーシーズン後半で5連敗を喫した際も、ほぼ固定されたスタメンで戦い続けた。あえて同じメンバーにこだわった理由を尋ねると、ヴオリネン監督は「期間によってはコザメルニクや柳田(将洋)のプレー時間が多かった時期もあったが」と前置きしつつ、苦悩に満ちた決断の背景を詳細に語った。
 
「今回、終盤に向けて選手のラインナップが固定されてきた理由の一つは、コンビを大切にしていたからです。チームにはいい選手がたくさんいますが、終盤に向けて安定性を追求する必要がありました。そのなかで誰をメインに起用していくかはほんとうに選択が難しかったです。今シーズンは(同時にコートに立てる)外国籍選手枠が2人であるのに対し、我々のチームには4人おり、そこに柳田や後藤なども加えてスタメンを絞り込んでいくのは、やはりとても難しい選択でした。最終的には安定を求めて選んだのが、今回のメンバーでした」
 ヴオリネン監督のこの決断に対し、コート上の選手はどう感じていたのか。

 

レギュラーシーズンからメインで戦い抜いた東京GBのメンバー

 

 

柳田将洋が語った「確信」の欠如と小さなほつれの怖さ

 ヴオリネン監督の前に行われた選手の会見で、柳田将洋は「チームとしての方向性が実現に至らなかったのか、それとも目指すものが定まりきらなかったのか」と問われると、

「監督の感覚としても、おそらく負けた要因というのははっきりしていると思うので、僕からあれこれ言う必要ないとは思うのですが」と前置きしたうえで、一人のプレーヤーとしての実感を語り始めた。
 
「感覚としては後者ですね。正直なところ、何を目指すかというところが、少しずつズレていっていた感覚はあります。もちろん去年からメンバーも変わっていますし、強みも変わっているので、そこの調整は必要だと思うのですが。そのうえでどこが決定打になってくるのかというのと、メンタリティーにしろボールにしろ、自分たちがどこに集中すべきなのかといったことが、いま一つ定まりきらなかったのかな、と個人的には思っています」

 

 

パワフルなサーブやスパイクを見せたSTINGS愛知の⑨ステファン・ボワイエ 写真:長尾里絵

 

 レギュラーシーズン最終節でサントリーサンバーズ大阪に2連敗したあとも、チームとしてのまとまりのなさやミスについて問題提起していた柳田。「頼れる選手がそろっているからこそ、個人としてもチームとしても打破していかなければならないとは思うけれど」と言いつつ、コート上での小さな迷いが積み重なっていく怖さに触れた。
 
「ちょっとしたほつれが、ボールが落ちるきっかけになる。自信を持ってそこにボールを託せたか、質のいいボールを供給できたか、そういったところに少しずつつながっていってしまうのがバレーボールの怖さだと思っています」

 

 

1戦目は第3セットからの途中出場だったが、2戦目は第1セット途中からの投入となった柳田 写真:長尾里絵

 

 


 さらに柳田は、采配と現場の間にあったギャップについて、慎重に言葉を選びながらこう続けた。
 
「いろいろな選手を投入して打破しようとするなかで、それまでやってきたパターンを一回ガラッと変えてしまうことがある。そういったことが、選手としてはかなりレベルの高いものを求められていたかもしれないと、僕は少し感じるところがあるんですけど」

 柳田は最後にこう締めくくった。
 
「もちろん選手も監督はじめスタッフも、チームとしてベストな状況で臨むような準備はしていたのですが、プレーオフのクォーターファイナルというしびれる状況の中では、そこがハマりきらなかったときのリバウンドが少し大きかったかなと、個人的には感じています」
 監督が「安定」を求めて選んだ決断と、現場で求められた高度な適応。その間に生じた微細な「ほつれ」が、少しずつ積み重なった先に、今シーズンの終幕があった。

 

来シーズンこそ「6人の強さ」へ 選手層の厚さを武器に変えられるか

 コート上で同時にプレーできる外国籍選手の人数(オンザコート)が、来シーズンは2から3へと増員される。どのチームも戦力はさらに厚くなる一方で、采配の難しさも増すだろう。個の能力がどれほど高くとも、コートに立つ6人が同じ方向を向いて初めてチームは機能する。「よくも悪くも」とヴオリネン監督が語った選手層の豊かさを、今度こそ武器に変えられるか。

 

 

大学卒業直後にも関わらず、クォーターファイナルの舞台に立った近藤蘭丸と、落ち込む近藤の肩をたたきながら励ます柳田

 


 柳田は、自分自身について今シーズンを振り返って次のように語った。
 
「個人的な役割として、スタートから出ることよりも、途中から出たり2枚(替え)でコザメルニクと一緒に出たりするシチュエーションが多かったです。しかし、その中で(自分の)役割を見つけるいい学びの機会にもなったと思いますし、そこでもしっかりとパフォーマンスを出せるという自信にもつながりました。僕たちは(今シーズンは)終わってしまったので、そこは来シーズンに向けての展望としてしっかり持ち帰りたいなと思っています」
 
「ほつれ」の正体が共有された今、東京GBがどのような答えを見せるのか。早くも2026-27シーズンが待ち遠しい。

 

取材:フジサキ ヒロ

 

■クォーターファイナル試合結果

51日 ジェイテクトSTINGS愛知 325-2125-2225-200 東京グレートベアーズ

  2日 ジェイテクトSTINGS愛知 325-1825-1925-200 東京グレートベアーズ

 

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