震災復興支援で”つながり”ながら魅力を発信/PFU馬場大拓監督×細沼綾主将×松井珠己選手【PFUブルーキャッツ石川かほく×SPALDING vol.2】
- SV女子
- 2025.10.17
左から細沼綾主将、馬場大拓監督、松井珠己選手(PFUブルーキャッツ石川かほく)
若さとエネルギーをぶつけて躍進のシーズンへ【PFUブルーキャッツ石川かほく×SPALDING vol.1】から読む
――セッターとして新加入の松井選手。ゲーム形式も重ねてきましたが、細沼選手とのコンビはいかがですか?
松井 何でも打ってくれます。高さがきちんとあれば、自分で合わせて打ちにいける、とても能力の高い選手だと思うので、これからもっと速いテンポなど、いろんなことに挑戦しながらやっていけたらと思っています。
細沼 PFUはサイド陣が強力というイメージがあるかもしれませんが、今シーズンはミドルブロッカーの攻撃でかき乱す、というのが一つ目標です。速い攻撃もパワー系の攻撃もミドルブロッカーが中心でやっていきたいので、私もいろんなテンポを打てるように合わせていきたいです。
松井 ほかにもいろいろなタイプの選手がいるので、その人に合ったトスを上げることも大事ですが、相手のブロックのことも考えなければいけません。どれくらいのスピードだったら、その人のよさを消さずに攻撃ができるか、というところは映像などを見ながら考えたり、その人と話したりしながらつくってきました。
――監督の意図するスタイルはいかがでしょう?
馬場 大きく変化をしたいということではなく、昨季積み上げてきたところに(新加入の)松井、横田(真未)、西川(有喜)のそれぞれのよさを組み合わせて変化し、より大きな力にしていければと思っています。そういった意味では全選手が早くチームにフィットしてくれましたし、チーム一体となって進んでこられている。いい感触です。
――新加入の3人を紹介するチームの動画で、横田選手がPFUの印象について「フェイントを知らないのか」と話していました
細沼 まぁ、フェイントは知っていますが(笑) 確かにスピードも兼ね備えつつの大砲型チームだとは思います。それを今シーズンからタマキさん(松井)とフジさん(藤倉由貴)がきっと使い分けてくれて、大砲だけではないチームになると思うので。スパイカーもテクニックに優れた選手はいますし、今はレベルアップしている段階。おもしろいシーズンになるのでは、と思います。
――今季の目標を教えてください
馬場 もちろん優勝を目指しています。ただ第一段階として、まずはチャンピオンシップ(CS)に進出できる8位以内、というところをリアリティーのある目標として掲げています。
松井 デンソー時代はいつも中間くらいで上位には勝てないことが多かったですが、今シーズンは上位を食ってほんとうに少しでも上を目指したいです。一試合一試合が大事。まずは8位以内に入れるように頑張りたいと思います。
――新シーズンを戦うユニフォームのお気に入りポイントはどこでしょうか?
細沼 やはりSPALDINGさんの生地はすごい、プレーにも支障がない。軽すぎて。最高な、私は大好きな素材感ですし、PFUは半袖なのですが、それもプレー中気にすることなく思い切りできるので、すごいSPALDINGさん最高―! って感じです(笑)
松井 半袖は練習着などでちょっと邪魔だな、と思うときがあるのですが、これは全然邪魔にならない生地感、長さ感です。アメリカではノースリーブでしたが、セッターは脇周りの露出が気になりますし、擦れたりするんですよね。そういった意味でも思い切ってできるので、今回とてもいいと思います。
馬場 それこそ半袖というところも今、新しさを感じる部分がありますし、何がいいかは議論の余地がありますが、これからもっといろんな部分で他と違うものを一緒にやっていければ、お互いによくなると思っています。ただ、僕はあまり「このかたちがいい」みたいなセンスがない(笑) 「かっこよくして」と言っています(笑)
細沼 監督は「いいやんか」しか言わない。ですが、ほんとうに私たちのわがままを詰め込んでくれたユニフォームになっています。ただ、チームには丈の長さなどを少し伸ばしてほしいという人もいれば、短くしたいという人もいます。面倒くさいと思いますが、いつもそんな私たちのわがままや、細かい要望を聞いて対応してくれているのがとてもありがたいです。
――ユニフォームは選手にとって特別なもの。その思いをお聞かせいただけますか?
細沼 もちろん誰もが着られるものではなく、「1シーズンまたこれを着られるんだ」と、毎回リーグが始まる前に思えるものです。PFUのユニフォームはほんとうにかわいいだけじゃないというか、格好よさも。
松井 かわいいだけじゃ(笑)
細沼 ダメですか、じゃないですけど(笑) 格好よさも兼ね備えたユニフォームで、SPALDINGさんのデザインがやはり私はすごく好きなので、毎年着られるのがとても楽しみです。特別感があります。
松井 いつも、とても大事にしちゃいますし、洗濯してもいちばんきれいに畳んだりして。やはり自分の勝負服でもあるので、着るともうほんとうに気合いが入りますし、「やらなきゃいけない」という気持ちにさせてくれるものです。
――本拠地の石川県は昨年1月、能登半島地震に見舞われました。チームでの震災復興支援活動について教えてください
細沼 昨季のリーグが終わってから次に始まるまでの期間で、現地の被災された方たちとソフトバレー大会を一緒にやらせていただいたり、田植えなどの活動を行ったりしました。試合中はやはり多くの方の目に入るということもあって、震災直後から「がんばろう能登 がんばろう石川」の腕章をつくったり。そういったグッズ関係は周りの方々もすぐ対応してくださいました。
試合中は特に、私たちの表情などがいちばん伝えられる部分になるので、あきらめない姿をいちばん大事にしよう、ということは私自身心がけていますし、チームとしても大事にしています。被災地の方と交流するときは、その人がどういう状況なのか話を聞かせていただいたり、子どもたちとは一緒に体を動かしたりして、とにかく楽しい思い出にしてもらうことを毎回心がけています。
――監督は震災当時、別のチームでしたが現在は活動に携わっています
馬場 チームそして会社にとっても、石川県でやっている以上、とても身近な出来事だったという話は代表やGMから聞いていました。チームとしてもできるだけ現地に行って活動したいということで、僕が入る前にもすぐ現地へ行ったと聞いていましたし、入ってからも何度か輪島へ行かせてもらっています。そうやって可能な限りは我々チームで足を運び、姿を見てもらう。それで励みになるのならばとてもありがたいことだと思います。
またこの辺りも、大きな被害はないように思われますが、地面が隆起していたり、さきほどの田植えというのはホームタウン近くの内灘町ですが、1年間まったくお米が作れなかったそうです。今年から作るよ、というところで我々がお邪魔し、そこでも地域の方々との接点が増えていく、もちろん能登や輪島の方々とも接点を増やしたいですが、我々のホームタウンであるかほく市周辺の方々とのつながりもより深くしていきたいと思います。そこではただ「応援してくれ」と言うだけではなく、ほんとうに苦しんでいる方々に、我々が実情を知って、少しでも寄り添えるようなことができるならば、より身近に感じてもらえると思います。そういうことはチームとして継続してやっていきたいです。
そうした活動は、チームの強化にもつながると思っています。キャプテンが言ったように「粘り強くやりたい」「どうふるまうか」「どんなふうに我々の試合を見てもらおうか」といったところで、やはりあきらめる姿は見てほしくないですし、どんなときでもガッツを持ってやっているぞ、そういう姿勢が伝わればうれしい。それが我々のスタイルになっていけばいいな、と。そんなふうに思って活動しています。
――松井選手もいろいろと気になっていたと思います
松井 PFUに来てから、そういった活動にも一緒に参加させてもらっています。去年も、日本代表として金沢市などで活動がありました。当時はあまり情報なども入っておらず、知らないこともたくさんあったのですが、自分の目で見て、現状を知ることで感じるものがすごくありました。
――ここで活動していく以上、これからも被災地のそばからの発信に期待します。では最後にあらためて、どんなシーズンにしたいかを聞かせてください
馬場 結果としてCSに進むためには、やはり昨シーズン以上に勝利を積み重ねなければいけません。昨季以上の結果を求めるシーズンになると思います。
実は全チームのホームタウンの中で、かほく市は人口がいちばん少ないそうです。ただ、それでもホームゲームはとても盛り上がっています。それこそフロントスタッフなどがいろいろとくふうして、いいホームゲームにしてくれているんですね。そこで、このいちばん小さなホームタウンがぐっと盛り上がるような試合をして、皆さんと勝利を共有する。地域の方々と一緒に喜び合える場面をもっと増やしていける、そんなシーズンにしたいと思います。
細沼 目標は監督のおっしゃるとおり優勝、CS進出。そこはもちろんですが、今季は「つながる」というキーワードを掲げて活動しているので、バレーボールでつなぐという部分に加えて、今の話のように被災された方々が応援に来てくださる、そういった皆さんとのつながりも大事にしたいです。バレーボールはおもしろいんだぞ、ということをもっと皆さんに伝えていけたらいいなと思っています。
私たちはまだ若いチームですが、昨シーズンの経験を踏まえて今季はさらによさを出していけると思いますし、上位チームをかき乱せるだけの力があるメンバーがそろっています。今季はそういったものをもっとコート上で体現できるよう、頑張りたいです。
松井 やはり多くの方に知ってもらいたいという思いがあって、お客さんにもたくさん足を運んでいただきたいですし、来てもらったお客さんに、もう一回来たいと思ってもらえるようなチームになりたいと思います。勝てる試合ばかりではないと思いますし、もちろん負けるときもあるかもしれませんが、そういうときにも下を向かず、アヤ(細沼)が言うように「つながる」という意味では、チームの中でもしっかりつながって、チーム力を見てもらう。そうやって石川を盛り上げながら、お客さんと一緒に勝っていけたらいいなと思います。目標は同じくまずはCSへ行くことなので、今までの経験や積み上げてきたものをしっかりPFUに還元しながら、私もみんなからたくさん学び、切磋琢磨しながらやっていければと思います。
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