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春高2024

富士通 兵頭佳樹/新人賞に輝いた“5番手の男”

  • 編集部取材
  • 2021.04.18

<どのプレーでも安定感が光る>

 

ミスをしないという武器

 

 リーグ戦では全試合でスタメン出場を果たし、ていねいなプレーで貢献した。コートに立つうえで、「自分のポジジョンは、いわゆる“裏のレフト”。対角の浅野選手やオポジットの栁田(百織)選手のような花形ではありません。ただ、このポジションがミスしなければチームは勝てる、そのイメージでプレーしていました」と兵頭。

 

 その姿を見ていた谷平も同期の活躍に悔しさをにじませながら、どこか自慢げに、こう話す。

 

 「お手本のようなプレーなので、たくさんの人に見てほしいです。見ているだけで、うまくなりますよ」

 

 谷平が言うに、それは“勝利につながるうまさ”だというのだから、兵頭自身が胸に留めていることと合致する。

 

 「個人のうまさ、ではないんです。だって、練習や遊びでネットを挟んだら、めちゃくちゃ弱いんですよ(笑) けれども、チームが決めた組織的な動きの中で、確実に光るうまさ。点の決め方もそうですし、ミスをしないこともです」(谷平)

 

 自身のことを“ライバル”と言ってやまない同期の、「ミスをしない」というコメントに兵頭は照れ笑いを浮かべた。チームの4連覇に貢献し、最優秀新人賞を手にした兵頭にとって、今も成長の糧になっているのは先輩たちからの言葉だ。

 

「『兵頭、安定しているね』と言われるときは、すごくうれしかったです。安定したプレーヤーとは、自分がずっと目指しているものでしたから」

 

 愚直なまでに、自らに成長を課し、役目をまっとうした。それが最後尾から駆け上がることができた理由だった。

 

 「試合に出させてもらえたこと自体が楽しかったですし、富士通のバレーボールが好きになりました。今、すごく楽しいです」

 

 同年代の“先頭に立つ男”の口元で、白い歯がキラリと光った。(取材・文/坂口功将〔編集部〕)

 

<2020-21シーズン、13勝目の試合後に集合写真の真ん中へ>

 

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