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古川学園の日本一へのキーパーソン 熊谷仁依奈&阿部明音対談【四国インターハイ女子】

 

 

令和4年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)が、女子は7月28日(木)から8月1日(月)に徳島で、男子は8月3日(水)から7日(日)に香川で行われる。大会直前に注目選手たちの声をお届け。3月に行われた全国私立高等学校男女選手権大会(さくらバレー)で優勝し、優勝候補の一角として期待される古川学園(宮城)の熊谷仁依奈キャプテン、阿部明音の今大会への思いに迫る

 

さくらバレーで歓喜の瞬間を迎える阿部(左から3番目)と熊谷(同5番目)

 

――インターハイ県予選決勝では、第2セットは25-9で奪ったものの、第1セットは25-23と苦戦しました

熊谷:相手のリズムでプレーされたのが苦しんだ要因だと思います。アロン(タピア・アロンドラ)がエースだけど、第1セットはミスもあって。そのときに周りが点を取ったり、落ち着いてディフェンスをしていれば、苦しまなくてすみました。アロンに頼っている部分があったな、という反省もあります。ノープレッシャーで向かってくる相手に対しての戦い方をすごく学びました。

 

阿部:相手は攻めてきていましたが、自分たちは流れを作れずにいて。連続でサーブミスをしてしまったことも、ギリギリの勝負になった原因だと思います。

 ミーティングでは先生(岡崎典生監督)に2セット目がほんとうの自分たちの実力だと言われました。いかに相手に点を取られないで勝つ工夫できるかを目標にしていて、2セット目はすごく内容はよかったと思います。

 

熊谷:1セット目で苦しんだ分、プレッシャーがなくなり、1人1人が強い気持ちで戦えたと思います。ただ、全国大会は初戦で負けると終わることもあるので、2セット目から力を出しているようではいけません。そうならないように、1セット目からコンビの完成を目指して、しっかりと自分たちのバレーをしないといけないと思います。

 

 

――ミドルブロッカーのタピア選手、阿部選手は全国トップクラスの攻撃力。セッターの熊谷選手にとって、2人はどんな存在ですか?

熊谷:大きすぎる存在ですね(笑) 自分だけではありませんが、困ったときはセンターに上げれば何でも決めてくれると思えるくらい、ほんとうに頼もしい。セッターとしてここに上げれば決まると思えるので、攻撃の選択肢が増えます。ただ、相手はそこをマークしてくるので、もっと両サイドをうまく使って、アロンと(阿部)明音にはほんとうに苦しいボールを決めてもらえるようにしたいです。

 

阿部:自分とアロンはエースなので、苦しいときに点をどう取るかをもっと追求して、インターハイに臨めたら、と思います。

 自分は副キャプテンで、仁依奈がキャプテン。チームを強くするためにどうすればいいかをよく2人で話します。そのときにいつも自分たちが目指す日本一に向かって、絶対に前向きな発言をしてくれて、自分も仁依奈をすごく信頼しています。苦しいときは絶対トスを持ってきてくれると思うので、それを1回で決められるエースになりたいです。

 

 

――熊谷選手から見て、阿部選手のスパイカーとしての成長はいかがですか?

熊谷:2年生のときもすごかったですが、自分たちの代になってからの自覚や責任が伝わってきます。それがあるから、自分もキャプテンとしてもチームを引っ張らないと、と思っています。

 

阿部:仁依奈は1、2年生のときは正確にトスを上げることで精いっぱいというか、自分のトスが何かわからなくなった時期もありました。でも3年生になってからは、いかに楽にスパイカーに点を決めさせるかを考えることができていて、視野がすごく広くなったと思います。1年生のときにはなかった堂々とした振る舞いで、自信を持ってコンビを組むという気持ちもすごく伝わってきます。阿吽の呼吸というか、ここにトスが来るなっていうのもわかるようになりました。

 

熊谷:ふだんバレーの話はしますが、こうやってあまり直接聞いたりしないので、素直にうれしいです(笑)

 

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阿部はタピアに匹敵する高い得点力を発揮

 

――タピア選手はお二人から見てどんな選手ですか?

熊谷:明るくて、おもしろい。ムードメーカーみたいな存在です。

阿部:うん! みんなの笑いをとったり、盛り上がるときはほとんどアロンがいるよね。

 

熊谷:1年生のときも、自分たち同学年といるときは明るくて優しかったですが、日本語がまともにわからず、難しいことも多かったです。でも、同学年の私たちが教えたり、アロン自身もわからない言葉があったら携帯で調べたり、努力していました。

 

――昨年のインターハイからレギュラーとなり、プレー面の成長はいかがですか?

阿部:自分がやれば絶対に勝てるという思いを持っていると思います。今年の春高では、タイムアウトのときに「(トスを)持ってきたら全部決める」とみんなに言っていました。「もうそのレベルまで到達しているんだ」と思って自分は焦りましたが、だからこそ、タイムアウト明けには「アロンに持っていこう」とみんなで一つになって戦うことができました。自覚も芽生えて、すごく成長を感じます。

 

熊谷:大会になると、練習とは別人になるというか。アロンがキャプテンみたいに周りに声をかけて、トスも呼びます。プレーでも、精神な面でも変わったなと感じています。

 

――インターハイへの意気込みを教えてください

阿部:やっぱり目標は日本一です。そのためには、チームの目標であるコンビを完成させるために、一人一人が魂を込めて打ち込まないといけません。絶対日本一という結果を残して、こっち(宮城)へ戻ってきたいと思っています。

 

熊谷:自分たちが目標にしているところは上にありますが、そこだけを見すぎると足元をすくわれるし、県予選のように苦しい試合になると思います。一戦一戦、チーム全員が全力でバレーをして、最終的には目標を達成できたらと思います。

 

熊谷仁依奈

くまがい・にいな/3年/セッター/身長165㎝/最高到達点278㎝/仙北中(秋田)

1年生時からレギュラーを務め、7月の第21回アジアU20(ジュニア)女子選手権大会のメンバーにも選ばれた注目のセッター

 

阿部明音

あべ・あかね/3年/ミドルブロッカー/身長172㎝/最高到達点296㎝/小名浜一中(福島)

タピアに匹敵する得点力を発揮し、さくらバレーの優勝に貢献。後衛ではレシーブに参加するオールラウンダー

 

取材/田中風太

撮影/山岡邦彦、編集部

 

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