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春高2024

イタリア・セリエ“B”を味わってみた by GUCII 【こんバレ番外編】

  • 編集部取材
  • 2023.04.09

 

月バレ.comで連載中の「世界の国で発見! こんなところにバレーボール」。青年海外協力隊による海外のバレーボール事情や、実際に行った普及活動の様子をお届けする企画です。今回は番外編といいますか、スピンオフとして…。2月後半にイタリアへ取材に出向いていた月バレ編集部のGUCIIこと坂口功将が、“世界最高峰”と称されるセリエAの4部に該当するセリエBを紹介します

 

ミラノから北西、モルナーゴの地へ

 

「今夜は息子がコーチするチームの試合だ。さぁ行くぞ」

 

 現地2月18日。イタリアに到着した当日、まだ時差の調整がおぼつかない中、ステイ先の友人(御年70歳)が車のキーを手に誘ってきました。息子さんはクラブチームのコーチをしていて、その試合がちょうどあるという。聞けば、カテゴリーはセリエB。普段、目にしているセリエAの1部(いわゆるスーペルリーガ)からすれば、A2、A3ときて4部に相当します。なるほど、この機会を逃せば、そう触れることはないかも。ということで、カメラ片手に、ご一緒させてもらうことに。

 

 ちなみに、試合開始時間は21時。ステイ先はミラノの北西に位置するマルペンサ空港との間にある町・レニャーノだったのですが、そこからさらに北西へ約40分、車を走らせます。体育館に近づくほどに道のライトがだんだん少なくなり、外は真っ暗。思わず、ハンドルをにぎる友人に「一人じゃ帰れないよ」と(笑)

 

友人とともに体育館に到着

 

 さて、目的地であるモルナーゴの体育館に到着。バレーボールコート1面サイズの体育館で、ベンチとは反対側のサイドラインに5段ほどの客席が設けられています。日本でいえば、校舎とは離れたところに建てられた簡易な体育館、といった規模感です。

 この日は、息子さんのチーム「Insubria Volley Mornago」(モルナーゴ)がホームに「Fitprime Bresso」(ブレッソ)を迎えての一戦。公式戦ということで、試合前のアップからコート内には緊張感が走っている気がします。

 

いざ試合開始!!

 

そのモルナーゴを応援するのは…、なんとチームカラーのウェアを身にまとった10歳前後の少年たち。太鼓とパフパフ(ラッパのあれ)を手に準備万端のようです。そうして試合開始時刻が近づくにつれ、老若男女のおそらくは地元の人たちが客席に詰めかけます。あとから会場にやってきた少年グループが、先に応援を始めた少年たちを見て、「お前、なにやってんだよ~!?」(セリフは想像)といった具合で目を丸くさせたのが印象的でした。

 

若さ全開。ひっきりなしに声援を送る応援団

 

元・イタリア代表アタッカーの姿も

 

年齢を感じさせない、豪快なアタックを放つ④カズーリ選手

 

 試合はモルナーゴが、ホームの声援の後押しを受けて2セットを連取。しかし、第3セット以降は精彩を欠き、フルセットにもつれ込みます。この時点で現地時刻23時手前。ですが、応援はやむことなく、少年たちはチャントを奏でます。元気やな…。

さて、最終第5セットは序盤でブレイクに成功し、モルナーゴが勝利!! チームも応援団もボルテージは最高潮でした。

 

フルセットの戦いを制して歓喜するモルナーゴの選手たち

 

 ちなみに、モルナーゴには元・イタリア代表のアタッカーだという、御年48歳(!!)クリスティアン・カズーリ選手の姿が。要所で豪快なスパイクを打ちこみ、得点を呼び込んでいました。セリエAの名門、モデナでプレーした実績もある方で、この数日後、モデナのアリーナ「パラ・パニーニ」に飾られたパネルで発見して、「あのモルナーゴの選手や!!」と興奮しました。

 

モデナのパネルに若かりしカズーリ選手が(前列⑯)

 

 ちなみに、試合後、友人の息子さんを通じてチームのヘッドコーチに質問してみました。

「最終第5セットを前に、どんな言葉をチームにかけたのですか?」

「まずは落ち着くように。それでもアグレッシブさは損なわないように戦うんだ、と伝えました」

 なるほどです。ちなみに私は、チームのマネジャーさんから「悪い状況になった理由はどう映った?」と逆に質問されてしまい、「ミスが多かったと思います、、、」と英語を振り絞るだけで精いっぱいでした。

 

リーグ戦真っ只中。今後の健闘を祈っています!!(GUCII)

 

イタリアで奏でられる“よふかしのうた”

 

 試合が終了したのは23時半。さて、体育館も閉館、と思いきや、コートの至るところに人の姿が。さっきまで試合をしていた選手たちも、サーブ、レシーブ、スパイクと子どもたちにボールを出します。

土曜日の夜、日付が変わるくらいまでバレーボールをする少年たちを見て、これが世界王者の国・イタリアに広がる裾野の景色か…、と。こんな夜更かしなら、どんどんしていいよ。

さて、チームも撤収し、お次は打ち上げに誘われました。いつもチームが行くレストランがあるそうで、体育館から車で15分ほどで到着。なお、提供されるメニューがピザだけ、なのは、レストランのシェフは帰宅しているからだそう。そりゃそうや、24時だもん(笑)

イタリアあるある、一人前1枚で出されるピザに舌鼓を打ち、英語が話せるチーム関係者たちと楽しく会話し、25時過ぎに解散。選手やスタッフたちと記念撮影して、この日を終えました。

 

モルナーゴの選手たちと。快く写真に応じてくれました♪

 

初めて触れてみたセリエBの世界。日本で例えるなら、Vリーグとは別の全国6人制リーグといったところでしょうか。何より、地域に根付いた熱がすさまじかった。会場の子どもたちの中には、これがバレーボールか何かもわかっているか定かでないくらいの幼い子もいましたが、この熱気に包まれ、やがてボールを手にとり、バレーボールの世界に足を踏み入れていくんだろうな…、と想像しました。

こうして、GUCIIのおよそ2週間におよぶイタリア出張はスタートしたわけです。「イタリアで体験! こんな時間にバレーボール」、お読みいただきありがとうございました。

 

試合を見つめる子どもたち。この中からトッププレーヤーが生まれるかも…

 

GUCII(坂口功将)

1988年2月17日生まれ、大阪府生まれ兵庫県育ち。

バレーボールの競技経験はなし。現在、月バレ編集部で中学生カテゴリーや海外バレーを筆頭に、幅広く担当中

 

▼ちなみにGUCIIが撮影した写真はチームのSNSにも採用されました!!▼

 

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