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「相棒でライバル」男子U16日本代表 新山明と岩野泰雅が友情を武器に日本一へ 全国ヤングクラブ大会が開幕

  • 編集部取材
  • 2023.09.29

<岩野がコートを離れたあと、闘志をむき出しにしてプレーした新山>

 

無念の負傷退場となった岩野に言葉をかけることができなかった新山

 

 治療のためプレー続行は不可能となり、福岡プロシードは片翼をもがれた。その状況下で、新山は何度も相手の高いブロックを破った。攻撃枚数の差で相手にリードされようとも、前衛後衛問わず力強いスパイクを放つ。「正直、自分だけで勝てるのかなという不安はありました。でも、それと同じくらいに、“やってやる!!”という気持ちも。覚悟を決めて、絶対に勝つんだ、とプレーしていました」と新山。

 

 だが奮闘むなしく、フルセットの末に敗れる結果に終わった。試合後、新山は“相棒”の存在をひしひしと感じていた。

 

 「いつもは(岩野)泰雅がいるから、後衛でもバックアタックはたまに打つだけ。アタックも自分に相手ブロックが3枚つくことがほとんどなかったので…。

 泰雅はレシーブが役目と言うけれど、ここぞのところで決めてくれる。泰雅が決めたら絶対に自分も決める、という気持ちになる。お互いに高め合える、やっぱりでかい存在だなと思いました」

 

 試合後も岩野は治療のため、体育館の端で安静にしていた。何人かのチームメートは声をかけていたが、新山はいちばん遠い位置で悔しさにひしがれていた。

 

 「絶対に優勝する、という約束を果たせなかったので…。泰雅に申し訳なくて。話せませんでした」

 

<試合後、うなだれる福岡プロシードの面々。右端が岩野。左端に新山の姿が>

 

今年6月の全国ヤング県予選で岩野が“恩返し”の奮闘

 

 一方の岩野もこの日、新山と話すことはなかった。大会を終えてから、インスタグラムのダイレクトメールで「ごめん」と伝えた。すると、新山から「話しかけづらかった」と返ってきた。負傷退場して以降、初めてのやりとりだった。

 

 「でも、ほんとうに頼もしかったですよね、あのときの(新山)明は。一枚であれだけ決めるんですから。

 なので、ずっと自分も『出たかったかな』『ケガせんかったらよかったな』という思いで外から見ていました」

 

 岩野のケガは幸いにも1週間ほどで完治し、コートに戻ることができた。そうして臨んだ6月の全国ヤング福岡県予選で、今度は岩野が気を吐く。実はこの大会の終盤、新山の足は限界にきていた。

 

 「最後は足がつってしまい、自分はもう限界でした。そんななか、泰雅が『PROGRESS CUPで明が頑張ってくれた分、恩返しだ』ってプレーしてくれたんです」

 

 自分たちのチームが始まってから日本一を目標にしてきた。その切符をたぐりよせた試合をそう振り返る新山は、うれしそうに口にした。

 

 「県予選があったから、また信頼が深まった気がしますね」

 

<アタッカーとしても高い素質を備える岩野>

 

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