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春高2024

警視庁がVリーガーとして最後のゲームへ。「有終の美を飾りたい」

  • Vリーグ
  • 2024.03.14

 バレーボールのVリーグを戦うV3男子の警視庁フォートファイターズ。2024-25シーズンから始まる新リーグ移行に際し、チームはVリーグに参戦しない旨を発表した。すでに224日、25日に東村山市民スポーツセンター(東京)で今季最後のホームゲームを実施。3月に入り、残る試合はわずか。ついにVリーグのチームとしてファンの前に姿を現す最後の機会がやってくる。

 

 

今季はV3男子を戦った警視庁フォートファイターズ

 

最後まで戦うんだ、と決意して臨んだシーズン

 

 昨年10月に開幕した2023-24 Vリーグは、ほとんどのカテゴリーでV・レギュラーラウンドの佳境を迎える。一試合を消化するたびに、シーズンの終幕が近づく。そして、それは警視庁フォートファイターズにとって、Vリーグでの戦いがまもなく終わることを意味している。

 

 2024-25シーズンからJVL(ジャパンバレーボールリーグ)にて始める新規リーグへの参加を見送る。

 そのニュースが発表されたのは昨年11月だったが、チームには今季が始まる前から通達されていた。もちろん、選手たちの中でも波紋を呼んだ。

 

 警視庁のバレーボール部として活動を始めて50年近くの歴史を誇り、1999年からVリーグに参戦。2013/14シーズンにはV・チャレンジリーグ(現在のV2)制覇の実績を持つ。チームとしては国体を始め、国内の主要大会に参加はしているものの、やはり主戦場はVリーグ。それだけに「穴が空いた感じと言いますか。気持ちを切り替えるまでに時間がかかりました」(吉澤玄祐キャプテン)

 

 その決定が直接的な要因ではないにしろ、シーズンが開幕し、劣勢の場面や黒星を喫すると、どうしても雰囲気は暗くなる。ネガティブな発言も出てしまいがちだったというが、シーズンを過ごすなかで選手たちは次第に腹をくくる。最後まで戦うんだ、と。

 特にチームをけん引したのは、ガッツあふれるプレーが魅力の阿部翼や齋藤浩貴たちだ。試合では闘志をむき出しにして戦い、ムードを押し上げる。吉澤キャプテンは「僕自身がそういうタイプではないので、彼らには助けられます」と感謝してやまない。

 そしてそれは、「気分がマイナスになってしまう場面でも、みんなで助け合う。やはりバレーボールはつなぐスポーツですから。誰か一人で、ではなく、全員で勝とう」という志の表れでもある。

 

 

キャプテンとしてチームを牽引する⑱吉澤

 

 

仕事とバレーボールを両立し、これまで戦ってきた警視庁

 

 そんな警視庁がVリーグの舞台から去ることを惜しむ声も。毎年、「春の高校バレー 全日本高等学校選手権大会」に向けた審判講習会も兼ねて、年末に警視庁と練習試合を行うV3男子のトヨタモビリティ東京スパークルの松枝寿明監督は敬意を込めて、このように語る。

「私たちと同じで、本業である仕事とバレーボールを両立されているわけですが、それこそ比べものにならない苦労があるでしょう。一緒に体育館を借りて練習にいらっしゃるときもありますが、時には夜勤明けでお疲れの様子もお見受けします。しっかりと仕事をされて、そのうえでバレーボールに励む姿を純粋にすごいと感じますね」

 

 警視庁の所属選手たちは主に特科車両隊で業務に励んでおり、大規模イベントがあれば、警備にあたることも。「仕事を一生懸命やって初めて、バレーボールとの両立ができるんです」という吉澤キャプテンの言葉は、周囲が思う以上に、そうやすやすと口にできるものではないだろう。

 

 そんな姿に見るものは惹かれる。今年2月、近畿大学記念会館(大阪)の警視庁vs.兵庫デルフィーノの一戦には、神奈川から訪れたファンの方も。話を聞くに、仕事もバレーボールも一生懸命な姿を見て、応援するようになったのだという。そのファンの言葉が、警視庁というチームの魅力を表現するうえで、ぴったりだった。

「仕事と一緒で、コート上でも誠実さが出ると思うんです。ファン対応も優しいですし、まじめだけれど楽しくプレーしている。ふだんは子どもたちが憧れるヒーローで、休日はバレーボール選手というヒーロー、そこがいいですよね」

 

 

ユニフォームを着て、遠方まで応援に駆けつけるファンの姿も

 

【次ページ】「気持ちのいい、鳥肌の立つゲームが見たい」というファンの声

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