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東京の公立校から日の丸へ。中学選抜女子 吉井美樹の学びとイタリアでの出会い「ここに立っていることに感謝して」

  • 日本代表
  • 2024.03.15

海外遠征の1週間で上達を実感した

 

 

サーブレシーブの上達に励んだイタリアでの日々

 

 その姿勢は今回の海外遠征でも継続した。クラブイタリアで相手サーブに苦しんだことで、その現実を受け止め、スタッフからの指導を吸収した。

「体の横でさばけていたボールも、捕れなくて。そもそも5号球でやっていませんでしたから。なので、しっかりと体の前で捕る、たとえ差し込まれるような球筋に対しても、後ろに下がって捕る。それを心がけて過ごしました」

 

 今回の海外遠征では、選手の可能性を引き出す目的から、さまざまなポジションをトライさせている。吉井も本来はアウトサイドヒッターだが、リベロとして起用されることも。そうして、親善試合や「Nations Winter up」大会本番を通してサーブレシーブを上達させていく。

 

「何もできなかった」アジアU16選手権大会を糧に、「絶対に成長したい」と胸に留めて臨んだ全中選抜は、大会ベストリベロという勲章を手にして締めくくられた。決勝の胸中を吉井はこう明かす。

「予選までは楽しんでプレーができていました。『リベロが楽しい、ボールを拾うのが楽しい』って。ですが決勝は『拾わなきゃいけない』という思いが出てきて、試合前からうまくいきませんでした。

 やばいな、と思ったのですが、試合中に『今、楽しんでバレーボールができていないな』と思い直したんです。そこから笑顔を増やして、声を出すようにしたら、ダイレクトのボールが拾えたり、Aパスを返球できるようになりました」

 

 振り返れば、クラブイタリアとの親善試合で苦しんだ際は「やばい。どうしよう」と落ち込み、気持ちの切り替えを課題に挙げていた。そうしたメンタル面の波も、克服しようと励んでいたのである。

 

 

大会ベストリベロに輝き、表彰を受けた

  

 

U17ドイツ代表キャプテンとの絆

 

「相手にまず日本人ではない選手がいる。それ自体がなかなかできない経験なので。ここに立っていることに、感謝しないといけないな、と思います」

 それが、日の丸をつけて海外の舞台を経験する吉井が抱く、素直な気持ちだ。技術面、精神面、それらを成長させるきっかけをいつもそこでつかんでいる。

 

 そして今回のイタリアでは、海外ならではの特別な体験も。大会のグループラウンドで対戦したドイツのキャプテン、フロレンティーネ・ロスマンが吉井のプレーに惹かれ、ジャージの交換を申し出たのである。2人は決勝を終えたあとに、トレーニングジャージを交換。インスタグラムで「また試合ができたらいいね」とやりとりをした。

 

 身長175㎝の吉井自身は今後、アウトサイドヒッターとして勝負したいとにらんでいる。対するフロレンティーネは身長187㎝のミドルブロッカーだ。

「友達だけれど、やっぱり敵だし、ライバルでもあるので。絶対に打ち抜きたいし、逆にアタックを拾ったりして、なんとしても勝ちたいなと思います。

 世界の高いブロックが相手だとスパイクもまるで通用していないので、奥に打つことや力強いスパイクが打てるように、アタックを磨きたいです」

 いつかまたやってくるマッチアップを夢に描いて。その目に成長の道筋は、はっきりと見えている。

 

※吉井の吉の字はつちよし

 

(文・写真/坂口功将)

 

 

フロレンティーネ(右)と友情のハートマーク

 

 

 

 

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