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SVリーグ2024-25

デンソーテンが続ける震災被災地でのバレーボール教室

  • 9人制
  • 2025.06.13

福島県相双地域復興支援バレーボール教室

 

 V9チャンプリーグを戦う9人制女子の強豪、デンソーテンレッドフェニックスによる「デンソーテンバレーボール教室」が202554日、福島県相双地域の南相馬市にて開催された。東日本大震災の翌年、2012年に「この日は自由にバレーを楽しんでほしい」と竹口和三GMの思いのもとで始まったバレーボール教室も、今年で12回目を迎えた。

 今やJOCジュニアオリンピックカップ全国都道府県対抗中学バレーボール大会に出場する福島県代表チームが、大会前には毎年のようにレッドフェニックスの本拠地である神戸市まで練習に訪れるほど、その絆も歴史も深まっている。

 

 教室当日。この日のために準備された寄せ書きや、参加チーム紹介のパフォーマンスなどからも、この日が楽しみにされていたことが伝わる。毎年、相双地区のみんなと会えることを楽しみにしているのは、レッドフェニックスの選手たちも同じ。今年は南相馬市立鹿島中学校と石神中学校の体育館で、女子80名、男子40名が参加。総勢120名のバレーボール教室となった。

 

 

石神中の会場にて

 

 

初心者も指導者たちも一緒になって

 

参加チーム

女子:尚英中、中村一中、中村二中、向陽中、原町一中、原町二中、石神中、鹿島中

男子:中村一中、向陽中、尚英中、石神中(参加者合計120名)

特別講師:安部 曜さん(サンデン株式会社)

 

練習メニュー

・午前:開会式、ウォーミングアップ、パス(オーバー、アンダー)、レシーブ(オーバー、アンダー、3人レシーブ、サーブレシーブ)

・午後:スパイク、サーブ、ゲーム形式、閉会式

 

 開会式ではレッドフェニックスの選手だけでなく、各校のチーム紹介も。自分たちのアイデアで楽しいパフォーマンスを披露してくれるので、選手たちも毎年楽しみにしている。お互い交流を深めたところで、女子会場ではウォーミングアップとして「ネコとネズミ」を実施。ペアでネコとネズミに分かれて、「ね、ね、ね…、ネコ!」と中谷有希選手がコールすると、ネコは壁際まで全力疾走、ネズミ側はネコが壁をタッチするのを阻止する(ネズミ、と言えば逆)。判断力と瞬発力が問われる遊びで、逆側に走り出す受講生もおり、笑いながらもしっかりとアップ完了。

 バレーボールを始めたばかりの新入生をレッドフェニックス新人の大賀みるく選手と特別講師の安部さんが担当し、各校に分かれて練習がスタートした。

 

 

 

 

 

 午前中はレシーブ練習が中心。強打レシーブ、3人レシーブでは竹口GMが森友美選手、別宗光選手、大野葉月選手を相手に見本を…、と思わせて、構えている受講生のところにもボールが飛んでくるので、一気に緊張感が高まる。ボールの出し方も「最初は上から投げると恐怖心が出る子もいるので、下から投げてあげるとやりやすい」と、指導者に対してもアドバイス。指導方法や練習方法について、熱心に質問をしたりメモを取ったりする先生方も多かった。3人レシーブの練習では、カバーが重ならないように移動することを重点的に、ボールを上げる位置などについても細やかに指導がなされた。

 女子会場では昼食も担当選手と一緒にとったため、そこでも質問をしたり、話したり。お弁当を食べながら練習やプレーのコツをやりとりして、さらに交流を深めていた。

 

 

 

 

 午後は、まずはタオルを使ったしっぽ取りゲームでウォーミングアップ。ズボンにタオルを挟んだ1人を囲んで円になり、鬼にタオルを取られないよう逃げるゲームで、男子がしっぽを付けるとかなりハードに。取れそうで全然取れないので、息を切らしながらも「次、俺が鬼やりたい!」と盛り上がった。

 その後はスパイク練習。セッターとアタッカーのコンビ練習では、平田早希選手にトスのコツを質問する受講生の熱意が光っていた。また、石神中がコンビの自主練習をしているところに「もっとブロックがいた方がよくない?」と集まってきた中村一中のメンバーによる、6枚ブロックといった場面も見られた。

 

 

 

 

 サーブ練習のあとは仕上げのゲーム。初心者チームはまだ試合が難しいため、1面では試合を、もう1面ではボールを2つ使ってラリーを行い、どちらかのボールを先に落とした方が失点する2個バレーで対戦した(スパイクは禁止)。上級者は、1度ボールを触った人は壁にタッチしてからコートに戻ってプレーするというハンデつきで、初心者から上級者までさまざまなレベルの受講者がいるなかでも楽しめるかたちがくふうされていた。

 

 最後には石神中の羽根田一弘先生率いる各校の選抜チームvs.レッドフェニックスと、OB戦を実施。男子が相手だったため、レッドフェニックスの選手たちは心置きなくプレーした。選抜チームも健闘したが、勝利したのはレッドフェニックス。受講生たちは、得点するたびに全員で走り回って盛り上がっていた。

 

 

 

■参加者コメント

「レシーブが苦手だったけど、今日の練習を生かして、サーブレシーブがうまくなるようこれからも練習します」

「もうできている、と思っていたことでも、細かい部分を再確認することができ、これからの練習でも意識して続けていきたいと思いました」

「お忙しいなか、遠くからありがとうございました。中体連頑張ります! 昨年も楽しかったですが、今年もとても楽しかったです。また一緒にプレーしたいです!」

 

■竹口和三GMより

「相双地区でのバレーボール教室も東日本大震災の翌年から始まって、今年で12回目。早いもので14年が経ちました。先生方の熱量には毎回驚かされますが、今回は高校生になった卒業生も駆けつけてくれたり、男子もOBが参加してくれたりと、相馬の人たちはつながりを大切にする、温かい土地だと感じています。

今年もサンデン株式会社の安部さんが参加してくださり、充実した1日を過ごすことができました。引き続き、相双地区の子が成長してレッドフェニックスに入ったり、試合で対戦したりするのを楽しみにしているので、ぜひかなえてほしいです。今日学んだことを生かして、楽しみながらバレーボールが上達するよう頑張ってください」

 

翌日は岩手県大船渡市でバレーボール教室

 

 次は岩手県の大船渡市民体育館に舞台を移し、「デンソーテンバレーボール教室」を55日に開催。大船渡市でのバレーボール教室は2022年から始まり、今年で4回目となる。大船渡市には、活躍している同市出身のスポーツ選手を応援する「大船渡アスリート応援団」があり、昨年に引き続いてキャプテンを務める佐々木遥香選手も公認アスリートに登録されている。そういった縁から、毎年デンソーテンは全員で佐々木主将の故郷を訪れ、バレーボール教室を開催している。

 

 今年2月末には大規模山林火災があり、大きな被害を受けた大船渡市。少し前までは市民体育館も支援物資置き場となっていたという。「大船渡の皆さんとバレーがしたいけれど、かえって気を遣わせてしまうのでは」との懸念もあったが、大船渡市からは「ぜひ今年も来てください」という返答があり、今年も無事に大船渡市での教室が開催されたのだった。

 

 

 

 

レベルや年代に合わせた内容を実施

参加チーム

小学生:世田米VBSS、サンドリーム、釜石ブルーウィング、住田アリスバレーボールクラブ

中学生:大船渡一中

高校生:大船渡高、大船渡東高、大槌高

(参加者合計約50名)

 

練習メニュー

・午前:開会式、ウォーミングアップ、パス(アンダーハンド、オーバーハンド)、レシーブ(オーバーハンド、アンダーハンド、3人レシーブ)

・午後:エキシビションマッチ(紅白戦、9人制の紹介)、午前中のおさらい、スパイク、サーブ、ゲーム形式、閉会式

 

 体育館には「ありがとうRed Phoenix」「がんばれ! 佐々木遥香先輩」と書かれた大きな横断幕があり、歓迎ムードが伝わる。開会式では藤枝修副市長の挨拶があり、昨年に引き続いて、大船渡市公式マスコットキャラクターのおおふなトンもバレーボール教室に参加した。

 

 体とともに受講生の緊張をほぐすためのウォーミングアップは、恒例の「こおり鬼」に加えて、今回は「言うこと一緒やること逆ゲーム」を実施。こおり鬼は、捕まったら凍るところまでは通常ルールだが、タッチする代わりに、他の人が凍っている人の足の間をくぐることで動けるようになるルール。「言うこと一緒やること逆ゲーム」は、指導員の田中莉桜選手が「左、右、前、後」とコールするのを聞いて、同じ言葉を言いながら、言われたのと逆の方向にジャンプするというゲーム。簡単にできそうだが意外と混乱して難しいため、間違える人も続出してウォーミングアップから盛り上がった。

 

 

 

 

 午前中はレシーブ練習を中心に行った。すべての基礎となるパス練習では担当選手が一人一人のフォームをしっかり見ながら「顎が上がっているよ」「腕はこのくらいがいい感じ」と細かくアドバイス。

 

 強打レシーブでは、選手が見本を見せながら「指立て(伏せ)をしたときの指、お腹の力の入れ具合がオーバーハンドレシーブに似ているからやってみよう」と、みんなで実践。3人レシーブでは、ボールを触らない人もしっかり集中して動くことをレクチャーし、3人レシーブがまだ難しい小学校低学年の受講生たちは、アタッカー役の選手が持つボールを、受講生2人がタッチして素早く移動する「タッチ&ゴー」を行った。

 

 

 

 

 午後はレッドフェニックスによるエキシビションマッチからスタート。藤本幹郎監督の解説による9人制ルールでの試合を披露し、ネットプレーやネットと平行に腕を出すブロックなど、初めて見る9人制ならではのプレーに参加者はみな興味津々だった。厳しいコースへの鋭いスパイクをスーパーレシーブで拾う佐々木主将に、思わず拍手が沸き起こる。ふだん間近ではなかなか見られない実業団選手の真剣なプレーは、受講生たちの刺激となっていた。

 そのあとはスパイク、そしてサーブ練習。スパイクは、初心者にはトスと助走のタイミングが難しく、セッターとの呼吸が大切となる。小学生から高校生まで幅広い層の受講生がいたため、それぞれの練度に合わせて担当の選手が指導した。

 

 

 

 

 

 最後はゲーム形式。正式なルールでの試合がまだ難しい小学生チームは、全員参加でボールを落とさないようにラリーするかたちで、中高生は通常のゲーム形式で対戦した。1日の練習の成果を見せるべく、学んだことを意識しながら取り組む。ちょっとシャイな大船渡の受講生たちも、レッドフェニックスの選手にうまく盛り上げてもらって、最後は失点しても前向きに、得点したらみんなで喜ぶ姿が見られた。

 

 閉会式では、参加者たちをはじめ、大船渡の皆さんから大きな寄せ書きをいただくサプライズも。「楽しかった!」「また来てください!」「私たちも頑張るので、選手の皆さんも試合頑張って!」と、うれしい感想を聞くことができ、今年も充実したバレーボール教室となった。

 

 

 

 

■参加者コメント

3人レシーブでの動きがとても勉強になりました。今日学んだことを忘れずに練習に励みたいと思います。ありがとうございました」

「エキシビションマッチでのスパイクもすごかったし、レシーブもすごかった。同じ大船渡で、こんなすごい選手がいるのがうれしかったです」

「最近おろそかになっていた基礎的な部分を見直すことができてよかったです。今日1日ずっと楽しくて、やっぱりバレーボールって楽しいなと思いました。また来てください」

 

■佐々木遥香主将より

「基礎的なことを重点的にやった1日なので、人によっては『地味だな』と感じることもあったかと思いますが、私たちも小中学生のころから基礎を大切に練習して上達しました。みんなも、これが大事だと思っていつもの練習を頑張ってほしいです。

2月の山林火災は神戸でも心配しており、チームメートや会社のみんなも心配してくれました。大船渡が元気になるには、地元のみんなが元気になることがいちばんなので、こうして1日みんなで楽しく大船渡でバレーボールができてよかったです。今年もすごく歓迎してくださってうれしかったです。大船渡と神戸とで離れてはいますが、今シーズンも皆さんの応援を胸に頑張っていきたいと思います」

(月刊バレーボール7月号でも教室の様子をレポートしています)

 

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