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さくらVOLLEY王者の清風高が4年ぶりのインターハイへ 前田凌吾ら教育実習生のサポートも力に

4年ぶりの優勝を飾り、#4尾﨑亮太ら選手たちは雄たけびを上げる

令和7年度春季大会兼大阪高校選手権大会 兼全国高校総合体育大会大阪地区2次予選ベスト4リーグ(バレーボール大阪府インターハイ予選男子)が6月15日(日)に大浜だいしんアリーナ(大阪)で行われた。全国私立高等学校選手権大会(さくらVOLLEY)王者の清風高が、4年ぶり29回目の本戦出場を決めた(出場枠は男子1、女子は2)

 

 

4年ぶりの優勝を飾り、#4尾﨑亮太ら選手たちは雄たけびを上げる

 

 

追いかける展開も

強気な姿勢を忘れず

 

 サイドライン際で熱く選手を鼓舞し続けた山口誠監督が、静かに目元をぬぐった。セッター前田凌吾(早稲田大4年)を軸に、小柄なチームでベスト4に入ったインターハイから4年。ベスト4リーグに届かず、6回戦で姿を消したこともあった。全国での躍動が期待されながら、大阪を勝ち抜く厳しさを痛感させられた年もある。春高は10年連続で出場しながらも、昇陽高に阻まれ続けた3年間。「全国に行くのって、こんなにしんどいんや、と思いながらやっていたので。ほんとうに3年間きつかった」。歓喜に沸く選手たちを横目に、山口監督は声を震わせた。

 

 完成度の高いプレーで、3月のさくらVOLLEYでは初優勝。今季の有力校の一つに挙げられるが、山口監督は大阪に絶対はないことを知っていた。全勝どうしで激突した昇陽高とのベスト4リーグ最終戦。指揮官は「とにかく元気に明るく、受け身になるなと伝え続けたつもりではあるけど、そんなに簡単ではないよね」と苦笑いするように、序盤から相手の強気なサーブに押された。フルセットの末に勝利したさくらバレーの準決勝と同じように、10-16と苦しい展開。だが、強気な姿勢で巻き返した。

 

 相手のミスやミドルブロッカー田原璃晟のクイックで18-18の同点とすると、要所で昨年度の全国中学生選抜のキャプテンを務めたルーキー西村海司が強打を決めた。25-22でセットを先取。第2セットは17-13とリードしながら、終盤には1点差まで追い上げられたが、山口監督が「浮き足だったところもあったけど、耐えて、我慢して。1セット目に頑張れたことが大きな勝因でした」と語るように、粘る相手を振りきった。

 

 

前田凌吾(最後列左端)ら、教育実習生が在籍した2021年以来の本戦へ

 

 

山口監督は「みんなに感謝」

先輩たちの思いをつなぐ

 

 胸に「魂」、背中には「素直 感動」と書かれたチームTシャツを久々に身にまとったのは、教育実習生として帯同した4年前のインターハイベスト4メンバー。前田、南口辰揮(東海大4年)、服部壮汰(天理大4年)、柴田悠亜(国士舘大4年)が、この日も献身的に後輩たちをサポートした。優勝し、教え子たちと握手した山口監督は「ジャンプサーブがいいチームがばかりだったので、サーブレシーブやレシーブのことを(リベロの南口)辰揮が教えてくれたり、凌吾もトスのことを教えてくれた。実習生がしっかりボールを打ってくれました」と感謝。それだけではなく、「(インターハイに)いけなかった先輩たちも、苦しい思いを春高につないでくれたことが今回の勝ちにつながった。ほんとうにみんなに感謝です」と夏の舞台には届かなかった教え子たちへの思いも口にした。

 

 

涙を流す山口監督(左)。教え子である山本航世コーチと握手を交わす

 

 

 全国でも厳しいマークが待ち受けるだろうが、もう失うものはない。思う存分、魂のこもったバレーを見せるのみだ。指揮官は「向こう(島根県)に行ったら頑張るだけ。疲れたー!」と笑いながら、充実の汗をぬぐった。

 

 

ベスト4リーグの試合結果

6月14日

清風高 2(25-20、25-13)0 近畿大附高

昇陽高 2(25-22、21-25、25-19)1大塚高

 

6月15日

清風高 2(25-14、25-11)0 大塚高

昇陽高 2(25-17、25-17)0近畿大附高

清風高 2(25-22、25-22)0 昇陽高

大塚高 2(27-25、25-21)0 近畿大附高

 

最終順位

1位 清風高

2位 昇陽高

3位 大塚高

4位 近畿大附高

 

 

惜しくも清風高に敗れた昇陽高。#1塚本正翔キャプテン、#4越智煌翼の両エースが、強気なプレーでチームを引っ張った

 

文・写真/田中風太(編集部)

 

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【動画】試合後に応援団と喜びを分かち合う清風高

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