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「あのときキッズエスコートしていたんです」WD名古屋 渡辺俊介が本人へ告白。ビーチの試合で約30年ぶりに再会したレジェンドとは

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 「ジャパンビーチバレーボールツアー2025 4戦 立川立飛大会」が627日〜29日にTACHIHI BEACH(東京)で開催された。この大会にはワイルドカードとしてインドアのSVリーグ男子、ウルフドッグス名古屋から渡辺俊介と市川健太の両リベロがペアを組んで出場した。

 

 

2024-25シーズンからWD名古屋でプレーする渡辺俊介。ビーチバレーボールは自身にとって初めての試みだった

 

 

男子日本代表の「リベロ第1号」だった西村晃一

 

 28日の予選ラウンドをクリアし、まずは4チーム1組で争われるメインドローラウンド(準々決勝に相当)、その試合の前に4チームが整列する。隣に並んだペアの一人と言葉を交わす渡辺。すると表情がパッと明るくなったように見えた。

 

 その相手は西村晃一(WINDS)。現在52歳(当日は51歳)、長年ビーチバレーボールの第一線で活躍し、またインドア時代の1998年には男子日本代表の「リベロ第一号」としてプレーした経歴を持つ。そのレジェンドと「これまで絡みは全然ありませんでした」という渡辺は、かつての記憶を呼び起こして本人に伝えた。

「僕が小学生のときに、北海道で開催された日本代表の紅白戦でキッズエスコートしていたんですよ」と。

 

 現在37歳の渡辺が地元の北海道で過ごした幼少期と、西村の男子日本代表時代を踏まえれば、それは実に20年以上、30年近くも前の出来事だ。

「西村さんも『まじで!?』と驚いていました。僕もテンション上がりましたね。上手ですし、今もかっこいいです」

 サングラスをかけていたため想像に過ぎないが、きっと西村を前にした渡辺の瞳は、憧れのヒーローを前にした少年のそれだったはずだ。

 

 

試合前に西村(右端)と言葉を交わす渡辺(中央)

 

 

西村から渡辺へエール「一瞬一瞬、そのひとときを大事に」

 

 そして対する西村も、この告白に驚き、喜びを覚えていた。

「うれしいよね。そのときにバレーボール教室で教えたみたいで。もう20年以上前でしょ。すごくない!?

 

 西村自身は現役のプレーヤーである同時に、競技普及や振興において積極的に活動を行っている。この立川立飛大会の1週間前にも、福島県相馬市にて小中学生を対象にしたバレーボール教室「第17Challenge Forever in相馬」を実施したばかりだった。そうした活動に長年取り組んでいくうちに、かつて指導した子どもたちが今、ビーチバレーボールを含めて競技に励んでいるそう。

「長くやっていると、いろいろとつながりますよね。子どもの頃のきっかけは大事ですし、それをたくさんの方々に伝えたいな、と。自分だけが頑張るのではなく、たくさんの人たちや物事とつながっていったらいいなと思って、今もそうした活動を一生懸命にやることを心がけています」

 

 北海道で出会っていたあの日、当時の西村は今と変わらぬそんな思いで渡辺少年と向き合っていたのだろう。それから長い月日を経て、インドアとビーチで舞台は異なれど、その第一線に今も2人は立っている。

 

 リベロの先駆者である西村から、渡辺へのエールを最後に。

「選手って一生できるわけじゃないから。一瞬一瞬、そのひとときを大事にしてほしいと思います。一生懸命にプレーする、競技人生はその積み重ねですからね」

 

 

試合ではネットを挟んでマッチアップするシーンも見られた

 

(文/坂口功将 写真/WOLFDOGS NAGOYA

 

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