「ビーチバレーボールができる場所がほしいな」岐阜の中学クラブの監督がサンドコートを私設。その情熱に迫る【インタビュー前編】
- ビーチ
- 2025.06.14
岐阜県を活動拠点に置くバレーボールの中学男子クラブチーム「フレンズ」。インドアと並行して励むビーチバレーボールでは2人制、4人制ともに全国大会優勝を果たしている。そのチームを指導する立松朋子監督は今春、驚くべき取り組みを実現させた。なんと県内に、ビーチバレーボール専用のサンドコート「ペンギンオアシス」を誕生させたのである。
場所は岐阜県各務原市で、名鉄「新鵜沼」駅から徒歩1分。何より岐阜市、名古屋市から電車で1本、30分ほどという抜群の立地に構えている。すでに5月11日にはオープニングセレモニーを実施。その際はプロビーチバレーボール選手の渡辺周馬(東京グレートベアーズ)も出席した。中学生たちにとってもビーチバレーボールがいっそう身近になる、そんな夢の場所が誕生するまでに至った経緯や思いを聞かせてもらった。【インタビュー前編】(取材日/5月21日)
コートのすぐそばで名鉄の赤い電車が走る
――「ペンギンオアシス」についてお話をお伺いする前に、まずは「フレンズ」の活動についてお聞かせください
立松監督 チーム自体は2014年に誕生しまして、今年で11年目になります。私自身、元々は各務原市の中学校のバレーボール部に外部指導者として7、8年ほど携わっていました。そのうち、子どもたちから「もっと教えてほしい」という要望があり、まずはバレーボール教室のようなかたちで始めたのがきっかけです。同じように外部指導者をされていた鈴木亙さんへもお声がけして、2014年から本格的にクラブチームで活動を始めました。
――ビーチバレーボール自体は2017年頃から始められたとか
立松監督 私自身はビーチバレーボールの経験がまるでありませんでしたが、いろんな指導者の方々のサポートを受けながら取り組んでいるという具合です。2017年あたりは部活動と地域クラブにとって過渡期で、学校に部活動がない子どもたちも増えてきました。中学でいえば夏の時期は公式戦があるわけですが、そうではない子どもたちは何もない。「活動する場をつくりたいな」と考えたときに、時期的にもビーチバレーボールは最適だったんです。翌年には初めて参加した県予選を勝ち抜いて、「湘南藤沢カップ」(中学生世代の4人制ビーチバレーボールの全国大会)に出場することができました。
――いざビーチバレーボールに取り組んだことで、選手たちにはどのような効果や成長が見られているものですか?
立松監督 まずは開放感ですよね!! 空の下で、伸び伸びとバレーボールができること。それもあってか精神的にとても前向きに取り組めているようで、いつも「もう引き上げるよ!!」と伝えても、なかなか選手たちは帰ってくれません(笑)
またルール上、インプレー中は監督から何も話すことはできないため、選手たち自身で太陽や風向きといったシチュエーションを読んだり、相手を見ることが必要になってきます。そこではコミュニケーション能力が大切で、私たちの指示を待つのではなく、仲間と会話して試合を成立させていく。見ていると、ほんようによくしゃべっているなと感じますね。その分、ボール1球に対する集中力も高いと思います。
例えばインドアの6人制だと、自分以外に5人いますから、ときに「誰かがやってくれる」となりがちですが、それが2人制だと自分がミスすれば、すぐに自分に降りかかってくるわけです。そこでの切り替えや集中力は、もちろんインドアでも欠かせませんが、ビーチバレーボールをするなかで磨かれている部分だと思っています。
「ペンギンオアシス」で実際にビーチバレーボールに励むフレンズの選手たち(写真はチーム提供)
――そうして今回、立松監督の手でビーチバレーボールコートをつくったわけですが、その思いに至ったのはどうしてでしょう?
立松監督 そもそも私たちはクラブチームですので、練習する体育館一つをとっても、保護者の方々に協力いただき、毎月初めに予約を押さえてもらっているのが現状です。その負担を減らしたいと思って、最初は体育館を建てたいと思いました。ですが、なかなか資金的にも簡単ではなくて。
そうするうちにビーチバレーボールに対して選手たちが積極的に取り組むようになりました。岐阜県の場合、ビーチバレーボールをやろうとなれば、場所は国営木曽三川公園(岐阜県海津市)のサンドコートになります。三重県の手前ですので、実際に足を運ぶにも1時間以上かかるんです。これまた送迎する保護者さんにとってはご負担になる。ですので「ビーチバレーボールができるコートがほしいな」と構想自体はずっと持っていました。
――実際に着手したのは去年頃からと
立松監督 いろんな方々から土地のご提案もいただいていたのですが、立地的な条件でなかなか決まりませんでした。移動も含めた選手や保護者さんの負担、それに用具の置き場所の確保などの条件を鑑みた結果、昨年頃から話が固まってきました。
場所は、かつての教え子の保護者さんが役員を務めていらっしゃる「株式会社大竹建設工業所」さんの敷地になります。社屋を移設するご事情もあって、もともと本社があった場所をさら地にされるということで、そこをお借りすることにしました。
《後編に続く》
完成した「ペンギンオアシス」をながめる立松監督
(取材・写真/坂口功将)
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【ギャラリー】シャワーやテラスの貸し出しスペースまで。「ペンギンオアシス」の様子