U21女子日本代表 準優勝の世界選手権を終えて帰国 山口祐之監督「ここからがスタート」
- アンダーエイジ
- 2025.08.19
2025女子U21バレーボール世界選手権大会で銀メダルを獲得したU21女子日本代表が、8月19日（火）にスラバヤ（インドネシア）から帰国した
帰国し、銀メダルを手にする選手たち
積極的なクイックが
チームの武器に
決勝ではイタリアに2-3で惜敗し、山口祐之監督や選手たちは「悔しい」と口をそろえた。しかし、世界を相手に自分たちのスタイルが通用した手応えもあった。
リベロの内澤明未を中心とした堅実な守りを起点に、突破口を見いだしたのは井上未唯奈、伊藤一葉らミドルブロッカー陣のクイック。伊藤がサイド陣の打数を上回ったという準決勝のブルガリア戦がその象徴で、セッター花岡千聡は積極的にセンターエリアにトスを集めた。それこそが、セッター出身の山口監督が目指す戦い方だった。
「これまではサイドに頼って、たまにミドルを使うというような攻撃でした。でも、海外のチームは日本と戦うときにサーブで崩してサイドを止めれば勝てる、という戦い方をしてきます。そこで、クイックを使って、とにかく（相手のブロックの）的を絞らせないようにずっと取り組んできました」
Bクイック、Cクイックで相手ブロックのスキを突いたが、決勝のイタリア戦では第5セットにレフトへトスが集中。指揮官は「高卒1、２年目の子たちが中心で、まだ『勢いでいけ！』というところもあるので。冷静に強弱をつけて打ち分けることも大事なんだよ、と伝えました」と振り返ったが、世界一にあと一歩まで迫れたのは、今回の取り組みの成果だった。
今大会につながった昨年の2024女子U20アジア選手権大会には、8月22日（金）から世界選手権に臨む秋本美空も出場していた。銀メダルを手にした12名も、トップチームに入る可能性を秘めている。
「常々伝えてきたのは、ここがスタートだということ。今大会の結果もゴールではないので、ここで得たものを今後のバレー人生の力にしてもらいたいです」
山口監督がそう語っていると、近くを通った上村杏菜がおどけて指揮官を笑わせる。コート内外で見せた明るいムードも、このチームの魅力だった。
「常に笑い声が聞こえてきて、とにかく明るいチーム。ビッグベイビーたちの集まりです。『試合前だぞ、大丈夫か？』と思うこともありましたが（笑） 試合ではこちらがそこまで注文する必要がないというぐらい、自分たちで盛り上げる力もあったので。そういったところも素晴らしかったです」
最後のミーティングを終えると、井上がスマートフォンを持った腕を伸ばし、選手、スタッフで写真に納まった。次に集まるときはさらに成長した姿で。届かなかったメダルをつかむ。
個人賞に輝いた（左から）花岡千聡、内澤明未、大森咲愛
個人賞受賞者の声
内澤明未（ベストリベロ）
「個人賞をいただけたことはうれしいけど、これ（ベストリベロ賞）を堂々と言えるようなプレーができたかというと、そうではないので。最高の仲間やスタッフと一緒にさせてもらった貴重な経験を、これからに絶対生かしていきたいです」
大森咲愛（ベストアウトサイドヒッター）
「すごくうれしい気持ちはありますが、自分が賞をいただいたときに『自分でいいのかな』『自分じゃないな』とも感じてしまいました。周りの選手やスタッフの方々の支えがあっての賞だったので、みんなにすごく感謝しています。次の機会では、自信を持って（賞を）いただけるような力をつけたいです」
花岡千聡（ベストセッター）
「名前を呼ばれたときはすごくびっくりして。正直、自分ではないし、自分が賞をもらっていいのかな、という気持ちがすごく大きかったです。この賞はもっと頑張れということだと思うので、この負けを次に生かせるように努力をして、強くなって戻ってきたいです」
文・写真／田中風太（編集部）
出場選手は下記の通り。
【女子U21世界選手権大会出場選手（12人）】
※ポジション表記はOH=アウトサイドヒッター MB=ミドルブロッカー S=セッター L=リベロ
＜背番号／名前／所属／身長（cm）／ポジション＞
1 熊谷仁依奈／筑波大3年／165cm／S ※キャプテン
3 柳 千嘉／デンソーエアリービーズ／185cm／MB
5 井上未唯奈／SAGA久光スプリングス／181cm／MB
6 渡部真夕／東京女体大1年／181cm／OH
7 伊藤一葉／NECレッドロケッツ川崎／179cm／MB
8 福村心優美／大阪マーヴェラス／178cm／OH
9 西村美波／東海大1年／177cm／OH
10 北川美桜／クインシーズ刈谷／176cm／MB
13 花岡千聡／東レアローズ滋賀／175cm／S
14 大森咲愛／筑波大1年／173cm／OH
16 上村杏菜／PFUブルーキャッツ石川かほく／167cm／OH
19 内澤明未／東京女体大2年／152cm／L
【監督】山口祐之（株式会社デンソー）
※所属・学年は2025年7月23日時点
■U21女子日本代表 世界選手権決勝でイタリアに惜敗も銀メダルを獲得
■U21女子日本代表が世界一へ王手 セッター花岡千聡のトス回しも光りブルガリアにストレート勝ち
■U21女子日本代表 世界選手権クロアチアに勝利し準々決勝進出
