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第72回春高/鎮西高・水町が見せた最後の姿

  • コラム
  • 2020.01.09
仲間たちと最後の春高バレーに臨んだ

高校二冠から一転。抱えた悩みと、迎えた最後の春高バレー

 

 県の名門・鎮西高に進学後は即戦力ルーキーとして、すぐにレギュラー入りを果たした。1年生時には、キャプテンの鍬田憲伸(中央大)とダブルエースを形成し、インターハイと春高バレーの高校二冠を達成する。鍬田が卒業した後は伝統のキャプテンマーク『3』を身につけた初めての2年生となった。だが、そこからは苦難の時期が続く。

 

 2年目はインターハイ、春高バレーでいずれも準決勝敗退。3年目になってからは、仲間たちの成長を感じつつも、九州大会で敗れるなど苦い思いを味わった。同時に水町も大小含めた怪我の影響のため、満足にプレーができない時期も。

 

 昨年の夏ごろには、ふと「最近、バレーボールがあんまり楽しくない。というよりも嫌なんです、自分らしくないのが。自分の中で波があって、チームも結果が出せていない。バレーボール自体が嫌になったわけではないけれど…」と打ち明けたこともあった。

 

 勝ち負けがある以上、もちろん「優勝は狙うもの」と水町。だが、「以前は負けたらどうしようもないくらい悔しかったのに、今はそれほどです」(水町)という言葉からは、2年生以降で過ごしてきた時間がいかに悩ましいものだったかが伺える。

 

 それでも高校生活最後の春高バレーを控えた昨年11月下旬、水町はこのように意気込みを語った。

 

 「これで最後という実感もあるようで、ないような…。でも、頑張らないと。楽しみですよ!! 組み合わせも激戦区になると思うので(笑)

 最後は意地を出さないといけない。その上でやることをやって、終わりたいです」

 

 その1週間後、組み合わせ抽選が実施され、1回戦では天理高(奈良)との対戦が決定した。いざ迎えた本番、「エースどうしの打ち合いになるだろうな」(水町)と踏んだ天理戦は、開始直後のファーストプレーで相手ブロックにつかまった。以降もスパイクでは跳び上がってからのスイングに力が入り、ボールをうまくコントロールできず。仲間の奮闘もあり勝利したものの、試合後、水町は「りきみ過ぎでした…」と肩を落とした。その一方で、はっとした表情でほほえんだ。

 

 「最後の実感はそれほどない、って言ったじゃないですか。でも…、明日も試合があると思うと、めちゃくちゃうれしいです」

 

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