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春高2025

世界クラブ選手権サンバーズ奮闘記3

  • SV男子
  • 2024.01.19

2023年のアジアクラブ選手権を制していたサントリーは天皇杯・皇后杯ファイナルラウンドの出場を辞退、同時期に開催されていた世界クラブ選手権(インド)に挑み、日本初の銅メダル獲得という快挙を達成した。戦いの模様や背景を、全4回のシリーズでお届けする連載の3回目です(第1回)(第2回

 

 

インドの観客がサントリーを後押しした理由

 

 インドという異国の地での戦いにも関わらず、サントリーは現地の人々の声援に後押しされた。配信で試合を見ていても、サントリーを応援する歓声が聞こえてきて、ホームのような雰囲気が伝わってきた。

 

 それはリザーブの選手たちの機転がもたらしたものだった。西田寛基がこう明かす。

「初戦の時に、なぜかわからないんですけど、客席にいた一部の女性たちが、サンバーズがサーブを打つ時などにかけ声をかけてくださっていて、喜入(祥充)さんと『なんか俺らの応援してくれてない?』と話していたんです。それで、僕らリザーブのメンバーが一緒に声を出してみたら、周りのお客さんもどんどん一緒に声を出し始めて。『これいける! 巻き込んだらホームゲームになるぞ。巻き込もう!』となった。そんな感じで勢いづいてやっていたら、連鎖するようにどんどん大きくなっていったんです」

 

 主将の大宅真樹は、「リザーブの選手が中心になってすごく会場を盛り上げてくれて、会場を味方につけたことが力になった。仲間がいる、という感じがしてすごくやりやすかった」と感謝する。

 

 

 

 今大会は、ドミトリー・ムセルスキーがベストスコアラーとベストアタッカーに輝き、世界の舞台でも桁違いのスケールを見せつけた。それだけでなく、大宅がベストセッター、デ・アルマス アラインがベストサーバー、藤中颯志がベストレシーバーとベストディガーを獲得した。

 

 今大会の収穫について、山村宏太監督は「世界に通用するんだという自信を選手たちが得られたこと」と語り、その中でも大会中特に飛躍的な成長を見せた選手として、アラインと藤中(颯)の名前を挙げた。

 

「アラインは、世界とやる時のほうが数段いい。日本では、相手を下に見ているというわけではないんですが、『なんでこんなに決めさせてもらえないんだろう』みたいなフラストレーションのほうに引っ張られることが多いんです。でも海外とやるときには、決まったらうれしいし、止められても仕方ない、という割り切りができるんじゃないか。攻撃面はもちろん、サーブレシーブでも我慢できていた。改めて自分の力を知ることができ、かなり自信がついたんじゃないでしょうか。

 颯志に関してはいちばん楽しんでやっていましたね。チームとして今ブロックとディフェンスの関係がハマって、それが楽しいのは颯志だと思うし、試合をすればするほどやることが明確になり、自信がつく。自信がつけば、今度は発信するようになると思う。まだチーム内では若いので、遠慮している部分があると思いますが、彼がもっと評価されるようになるためには、自らチームのフロアディフェンスを統率していく発信力が必要。そのきっかけになるんじゃないかと感じます」

 

 藤中(颯)自身も、特にディグについて、「力まずに待つ感覚や自分に合った姿勢を見つけて、しっくりきた」と手応えを語る。

 

 高い身体能力で得点を量産したアラインも、「世界のいろんな有名な選手とバレーができてよかった。自分とサンバーズのレベルを世界に見せられてほんとうにうれしい」と声を弾ませた。

「今回サーブ(の調子)が戻ったのでよかったし、スパイクも決められた。世界のブロックはほんとうに高いしすごい。でも速さは日本(Vリーグ)のほうが速いし、ディグも日本のほうがうまいと感じた。あとサーブレシーブもちょっとよくなったかなと思う。でもブロックとディグはもっとできる。今大会はいい思い出になると思うけど、準決勝で負けたことはほんとうに悔しかった。あの悔しさを忘れなければ、強くなると思う」

 

 アラインはキューバ出身で、現在日本国籍の取得を目指しているが、今大会に参加していた他チームのキューバ出身選手と話せたこともかけがえのない経験となった。特に元キューバ代表で、現在はポーランド代表として活躍するウィルフレド・レオン(ペルージャ)は、憧れの存在。

「めっちゃ話しました。『おめでとう』とか『グッドラック』とか、会うたびに言ってくれたり、何かあったら『大丈夫か?』と気にかけてくれて、めっちゃしゃべりやすかったです」と感激していた。

(第4回に続く)

 

 

写真/©SUNTORY SUNBIRDS

記事提供/SUNTORY SUNBIRDS・米虫紀子

 

第1回 銅メダル獲得の舞台裏

第2回 世界を驚かせた驚異のディフェンス力 

第3回 インドの観客がサントリーを後押しした理由

第4回 日本代表だけではなくクラブチームの強さも証明(1/20更新)

 

◇サントリー試合結果

3位決定戦 1210日(日)

○サントリー 317-2523-2525-2125-1915-122 ハルクバンク●

 

準決勝 129日(土)

  • サントリー 225-2222-2530-2820-2515-173 ミナス○

 

予選2日目 127日(木)

  • サントリー 221-2529-3130-2825-2212-153 サダ クルゼイロ○

 

予選1日目 126日(水)

○サントリー 325-2325-2325-160 ハルクバンク●

 

■最終順位

優勝  ペルージャ(イタリア)

準優勝 ミナス(ブラジル)

3位  サントリーサンバーズ(日本)

4位  ハルクバンク(トルコ)

5位  サダ クルゼイロ(ブラジル)

6位  アーメダバード(インド)

 

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■サントリーはハルクバンクに逆転勝利で銅メダルを獲得 男子世界クラブ選手権

■サントリーはミナスにフルセットの末に敗れ3位決定戦へ 男子世界クラブ選手権

■サントリーはクルゼイロにフルセットの惜敗も予選突破が確定 男子世界クラブ選手権

■男子世界クラブ選手権開幕 サントリーがハルクバンクにストレートで

■世界一を決めよう。サントリーサンバーズが臨む世界クラブ選手権の見どころは? 鳥人たちの競演にも注目

 

【次ページ】大会初戦(予選ラウンド ハルクバンク戦)の様子

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