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全国準優勝2度の東山高vs.強力ダブルエースを擁する洛南高 男子決勝は全国屈指のハイレベルな戦いに【京都府春高予選(男子)】

  • 2023.11.18

東山高と洛南高。これまで熱戦を繰り広げてきた京都府男子の両雄が、1118日(土)、全日本バレーボール高等学校選手権大会京都府予選会決勝で激突する。3年ぶりの同カードで、選手たちにとって初めてとなる大一番でのライバル対決。決戦を前に、両校のこれまでの歩みを振り返る

 

尾藤大輝(左/東山高)、中上烈(洛南高)

 

東山高

挑戦を続け

2度の全国準優勝

 

 壁にぶつかっては乗り越え、東山高はこの1年間で大きな変貌を遂げた。

 

 昨年度はインターハイで初優勝し、春高でもベスト4入り。だが、身長207㎝で日本代表の麻野堅斗ら当時の3年生の抜けた穴は大きかった。中でもポイントとなったのがセッター。2年間レギュラーを務めた當麻理人(東海大1年)に代わり、新たに司令塔に指名されたのは、高校から本格的にセッターに転向した太田渉稀だった。

 

 5月の黒鷲旗では、太田の経験不足をカバーすべく、セカンドテンポの攻撃で戦った。スパイカーの成長を促すと、花村知哉キャプテンやエース尾藤大輝らが格上の相手に真っ向勝負。グループ戦の筑波大戦では、敗れたもののセットを奪った。松永理生監督は「踏み込んで打ちにいく習慣になるので。あれだけたたいてくれたら楽しみになりますね」と目を細めた。

 

 その1ヵ月後のインターハイ府予選決勝では、ライバルの洛南高にストレート勝ち。第1セットは4-8と先行されたが、尾藤、花村キャプテン、サウスポー梶田勘大郎ら3年生スパイカーが磨いてきたスパイクで劣勢を打開した。リベロ髙橋智貴の守りも光り、指揮官は「3年生の力ですね」とたたえた。

 

インターハイ府予選決勝では、サーブでチームを勢いづけた花村キャプテン

 

 

 だが、歯車が狂い始めたのはその後だった。インターハイを制した昨年に続き、7月の近畿大会では頂点に届かず。準決勝で昇陽高(大阪)にストレート負けを喫した。何より満足できなかったのはその試合内容。選手間の声かけは少なく、コートに一体感をつくれないまま敗れた。そこからインターハイまでのおよそ2週間。初優勝した前年と比べ、松永監督が「今年のほうがハードでした」という厳しい練習で追い込んだ。

 

 2年連続で決勝まで勝ち上がったものの、インターハイでは準優勝。終盤の競り合いを制することはできず、駿台学園高(東京)にストレート負けを喫した。トスのスピードも上がり、コミュニケーションの量も増えた。それでも、頂点までの距離は遠かった。

「悪くはないですよ。でも、日本一を取ろうと思ったら、駿台(駿台学園高)はあれだけの力があるので。満足してしまったら超えられない。春高予選を突破して、もう1回決勝で当たるときのために、相当力をためないといけません」(松永監督)

 

 国体近畿ブロック大会では梶田がジャンプサーブに変えるなど、サーブの強化にも着手した。単独チームとして臨んだ国体では、2年生の鎌田侑來や守屋徒輝の打数も増やし、準々決勝(対神奈川県)、準決勝(対愛知県)とその新たなスタイルも機能。決勝(対山口県)では1-3でまたも頂点を逃したが、今季初めてセッターを太田から1年生の山上晴太郎に途中交代した。「チーム力を上げるための材料として、国体の決勝を経験してもらうことがこれからの彼の財産になるはずなので」。未来を見据えた決断も下してきた。

 

国体では2年生の活躍も光った

 

 

 そして、この春高府予選では梶田をセッターに起用し、ミドルブロッカーには全国中学選抜に選ばれた身長192㎝のルーキー齋藤航を投入。選手も監督も挑戦し続け、いよいよライバルとの決戦を迎える。国体を終え、エースの尾藤はその思いを口にしていた。

「僕たちの代は東山高しか春高に出ていません。洛南高からすれば、最後の大会ということで、今まで以上に熱意をぶつけてきて、すごくきつい試合になると思います。でも、もう1回日本一を狙うチャンスをつかめるようにしたい」

 

 洛南高だけではない。東山高にも負けられない理由がある。

 

インターハイ府予選に続き、白星を挙げられるか

 

洛南高

ダブルエースは

全国屈指の破壊力

 

 今から4ヵ月前、洛南高は大一番に向けた予行演習を終えた。7月の近畿大会。東山高は準決勝で敗れ、熱望していた再戦はかなわなかったが、決勝の舞台は春高府予選決勝と同じ特設コートだった。昇陽高にストレート負けを喫したものの、エースの中上烈は悲観していなかった。

「決勝で負けたのは悔しいですが、春高予選の決勝と似た状況だと思うので。勝ち負け関係なく、こういったコートで練習ができたのは、いい経験になったと思います」

 

 同大会でアウトサイドヒッターとしてコートに立ったのは、1年生時からエースを務める中上と、高校3年間で左すねの疲労骨折を5度繰り返し、今季から本格的に公式戦デビューした草野叶嶺。ともに最高到達点340㎝を超える全国屈指の2枚看板だ。高いポテンシャルを秘める草野には、中上も大きな信頼を寄せる。

「(ブロックの)上から打つことに関しては、(草野)叶嶺さんは全国トップレベル。調子が上がれば誰も止められなくて、チームとしてはとても大きな存在です」

 

高い打点から強打を放つ草野

 

 

 その両エースを生かすためにも、シーズン前半で浮き彫りになった課題はディフェンスだった。インターハイ府予選決勝(対東山高)では、第1セットを8−4とリードしながらも、サーブで崩され逆転負け。近畿大会の決勝でも、その課題を再認識した。オポジットの岸岡脩人キャプテンは言う。

12本目の精度を上げたら、3本目には確実に決められるエースが2人いるので。そこにつなげるかどうかで、春高に行けるかどうかは決まってくる。秋までにもっと精度を上げて、東山に勝ちたいです」

 

 夏場にはインターハイを制した直後の駿台学園高(東京)、さらに全日本インカレで頂点を目指す関東の強豪大学などと練習試合。10月には、草野、中上、酒井星英がデサント主催の「ベストアタッカーアカデミー」に参加し、石川祐希(ミラノ〔イタリア〕)から直接指導を受けた。大舞台には立てずとも、かけがえのない時間を過ごしてきた。

 

 12日の府予選では、サーブ、そして前衛後衛問わないスパイクで得点を量産した両エースはもちろん、機動力のあるサウスポー岸岡キャプテンも要所で得点を決めた。課題だった守りでは、リベロ角田空翔が何度も好レシーブを見せ、スパイカー陣を生かした。大塚達宣(パナソニック)らを擁し、日本一に輝いた2018年度以来の春高へ。し烈な予選を勝ち抜けば、一気に全国上位へ駆け上がる力を秘めている。

 

ライバルにリベンジを果たし、全国への扉を開く

文・写真/田中風太(編集部)

 

 

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