「あれはたまらなかったです」早稲田大 水町泰杜が憧れのクビアクと興じた一瞬の駆け引き
- SV男子
 
- 2023.05.25
 
<バックアタックでフェイントをかけて得点するなど、水町自身、技ありのシーンも>
「読んでいました」と思わず笑った、ラリー中のワンシーン
試合は水町の早稲田大が第2セットを奪い返したものの、最後はパナソニックに軍配が上がった。
その中にはクビアクと水町による競り合いのジャッジについて、ひと悶着もあったが…。それ以上に、試合を振り返り、水町の声のトーンがひときわ上がったワンシーンがあった。
それは第1セット、10-21からラリーが続いた場面。やや体勢が崩されていたパナソニックはワンタッチをとっての切り替えしで、セッターの深津英臣がアタックライン付近からレフト方面にいたクビアクにトスを上げた。このとき、クビアクはネットに向かって背中を向けているのだが、くるりと体を反転させると両手で相手コートの奥へボールをプッシュしたのである。
意表をつくようなアタック。それに反応したのが、ライト後衛に陣取っていた水町だった。
「読んでいました。(こっちの)セッターが前に詰め寄って、『クビアク、これ見えているな』って。絶対に奥に返してくると思ったので、自分も構えたら、実際にきましたね」
水町も後方に反り返るようにして、ボールをつないでみせる。結果的に得点にはならなかったが、この駆け引きに試合中ながら水町は感情を抑えきれなかった。
<試合中、感情のままに多彩な表情を見せる水町。全身で喜びを表現>
「ラリーが終わったあと、ニヤニヤしちゃいましたもん。映像見てきたかいあったな、って。高校時代にあのトリッキーなプレーは何百回見たかことか!! ああいうのを“クビさま”は平気でやってくる。絶対にくると思っていたので、それが読めたのは…、たまらなかったです」
見る側ではなく、対戦相手として。クビアクにワクワクさせられ、同時に、水町が自分自身にもワクワクした瞬間だった。
あらためて聞いてみる。肌で感じた、そのすごさを。
「安定感がすごいな、って。基礎ができていないと、トリッキーなプレーをしても空回りしちゃうじゃないですか。そのためにも安定さをもっともっと身につける必要があると感じました」
特別な時間を経て、さらに。水町の心の中で、憧れは強くなったのであった。
<基礎基本が土台としてあるからこそ、さらに技術を磨くことができる。ワクワクさせる選手へ、成長は続く>
(文・写真/坂口功将〔編集部〕)

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