バレーボール全国高校選抜男子 インドネシア遠征で将来につながる経験 岩下将大は「もっと武器をつくらないと」
- 学生
- 2025.09.12
バレーボールの全国高校選抜男子は、9月2日(火)〜7日(日)にかけてインドネシアで行われた海外遠征に参加。充実した日々を終えて帰国した。自チームとは違うポジションでプレーするなど、将来のトップチーム入りを目指してそれぞれがトライした
7日に帰国した全国高校選抜の選手たち ※撮影時、坂本吏巧(埼玉栄高〔3年〕)は不在
トップチーム入りを見据えて
自チームとは違うポジションでプレー
今大会に選ばれたのは、7月24日(木)~8月3日(日)に行われた2025男子U19世界選手権大会に、インターハイと日程が重なって出場できなかった選手たちが中心。将来のトップチーム入りを目指して、笠松剛監督(幸高〔神奈川〕)らスタッフが掲げたのが2点。まずは、自チームではしていないポジションへの挑戦だ。
本職がリベロの選手は不在で、チームではアウトサイドヒッターの能美偉時(福井工大附福井高〔福井〕3年)とキャプテンを務めたハントラクル星夏(市立尼崎高〔兵庫〕3年)はリベロでもプレー。そして、ミドルブロッカーがメインの西原涼瑛(鎮西高〔熊本〕3年)と吉田将大(市立尼崎高3年)はオポジットとしてもコートに立った。鎮西高では1年生時からオポジットとして活躍する岩下将大も、アウトサイドヒッターとしてサーブレシーブに参加。「ふだんから練習はしているけど、実戦になると最初は全然できなかった」と振り返るが、試合を重ねるごとに成長を感じられた。
「いちばんは守りの重要性に気付かされて。少しずつかもしれないけど安定するようになりました。スパイクではレフトが苦手という意識がずっとあって、今回もレフトは少し嫌だなと思っていましたが、自分にもできると思えました。ただ、高校で通用するとしても、ほかのカテゴリーで通用するとは限らない。もっと武器をつくらないといけないと思いました」
そして、笠松監督が挙げたもう一つのポイントが「サーブをしっかりと打つこと」。同世代では屈指のサーブ力を誇るハントラクルは「武器だと思っています」というサーブを初めて国外で打ったが、「相手も拾ってきてミスが多かった」と納得のいくプレーはできず。「ずっと8割以上の力で(コートに)入れ続けるように、練習から意識していきたいです」と宿題を持ち帰った。
それぞれが手応えや課題を感じながら、試合は4戦全勝。現地のU18、U19チームや、空軍、そして地元の社会人クラブチームに対して白星を積み重ねた。「レベルの高いチームと4試合できて、とても実りがありました。みんなが光っていましたよ」という指揮官は、スター候補たちに願いを込めた。
「春高が終わったあとから、次は(日本代表)ジュニアの合宿が始まって、そこに呼ばれる子たちもいると思います。ただ、今のシニアでは深津(英臣)から川野(琢磨)まで16歳差があるように、トップのカテゴリーでは年齢は関係なくなります。これからは同年代だけではなくなるということも視野に入れるように言いました。
日本も最近はクラブ化が進んでいますが、小連(小学生連盟)、中体連、クラブ、そして高体連で上(のカテゴリー)に押し上げていけるようにしたいです」
選手たちはそれぞれのチームに戻り、9月末の国スポ、そして来年1月の春高と戦いは続く。同世代との戦いに火花を散らしながら、いかにその先のカテゴリーも意識できるか。日の丸を背負った者たちの高い志が、高校バレーのレベルをさらに引き上げていくはずだ。
文・写真/田中風太(編集部)
※吉田の吉の字はつちよし
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