全国大会に出場した3人の娘を持つ 忠願寺貴博監督が臨んだ初の全中
- 中学生
- 2025.09.18
今年の全日本中学校バレーボール選手権大会(以下、全中)女子で初出場を果たした女子のVigare大分(大分)を率いているのは、元Vリーガーの忠願寺貴博監督。以前Vリーグに所属していた大分三好ヴァイセアドラーの前身、三好循環器科EKG大分で2005-06シーズンまでプレーした経歴を持つ。貴博監督は長女の風來(かえら/Astemo)、次女の莉桜(りおん/東九州龍谷高〔大分〕2年)、今回キャプテンを務めた三女の陽茉(ひまり)をバレーボーラーとして育て、3人とも全国大会出場を果たした。そして今大会、自身は娘の陽茉キャプテンとともに全中の舞台に立った。
創部3年目のクラブを全国大会に導いた忠願寺貴博監督
「僕が学生のとき、大分県の女子バレーは強豪でした。そのときを知っているからこそ、もう一回復活させたい」という貴博監督の思いから、2023年に創部したVigare大分。チームには「絆心繋勝(きしんけいしょう)」、漢字のとおり「絆を深めて心とボールをつないで、勝利をつかむ」という意味が込められた理念がある。予選グループ戦で全国初勝利をあげ、決勝トーナメント1回戦で八王子実践中(東京)に敗れたが、「その理念がよく表れていました」と指揮官が振り返るように、粘りあるバレーを展開した。スパイカー陣の特長を引き出すトスを上げた3年生セッターの長ちひろは、毎週末、住んでいる大分県日田市から1時間以上かけて練習拠点のある中津市まで通った。貴博監督は「毎回は練習に来ることができないなかで、家でも努力して正セッターを務めてくれました」とたたえた。
#10長はレフトへの速いトスを活用し攻撃を組み立てた
小学生チームの東大分JVC(大分)時代から、娘の陽茉キャプテンを9年間指導してきた貴博監督は「守備は三姉妹のなかでいちばん上手」と太鼓判を押す。そんな陽茉キャプテンら3年生は、クラブの一期生にあたる。創部年は、全中にクラブチームが参加可能となったばかりの時期で、「多くの子どもたちがここでバレーしたいと集まってくれて、いろいろな人たちの協力のおかげで全国大会に出ることができたので、感慨深いですし、みんなに感謝しかないです」と監督は目を細めた。
エースとしてもチームを引っ張った#1陽茉キャプテン
創部3年目での全国大会出場には「あいさつや礼儀、仲間への思いやりや気配りなど、人間力を高める」ことを大切にしてきた成果が表れた。今後はバレーボールを楽しむことを前提に、「今の小学生たちが真剣勝負できる環境を整えてあげたいです」と展望を語る。全国大会、そして娘たちを育てた経験を礎に、これからも理想へ向かって選手たちを指導していく。
Vigare大分に新たな歴史を刻んだ選手たち
文/廣田充則(編集部)
写真/谷崎郁弥、編集部
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