全国高校選抜男子のハントラクル星夏×岩下将大インタビュー 「三冠を食い止める」「負けるつもりはない」と火花
- 学生
- 2025.09.28
9月2日(火)〜7日(日)にかけてインドネシアで行われた海外遠征に参加したバレーボールの全国高校選抜男子。インターハイの決勝では対戦したハントラクル星夏(せな/市立尼崎高〔兵庫〕3年)、岩下将大(鎮西高〔熊本〕3年)の対談をお届けする。所属校ではアウトサイドヒッターのハントラクルはリベロ、オポジットの岩下はアウトサイドヒッターにも挑戦し、将来につながる経験を積んだ
ハントラクル星夏(左)と岩下将大
お互いにない部分が
成長の糧に
――海外遠征を終えて、得られたものはいかがですか?
岩下 こういった代表などに呼ばれたら、身長が低いほうになります。自分はいつも(鎮西高では)レセプションに入っていませんが、今回で守りの重要性に気付かされました。ふだんも練習はしていますが、レセプションなど実践的な練習をしてきていなかったので、最初は全然できなくて。どうしよう、と感じることもありましたが、試合を重ねるにつれて少しだけ安定するようになったと思います。
スパイクではいつもはライトで打つ機会が多くて、レフトから打つのは1ローテしかありません。レフトには苦手意識がずっとあって、今回も少し嫌だと思っていましたが、やってみたらできるかな、と思えました。
監督の笠松(剛)先生からは「守りもレシーブも平均値」と言われて。高校で通用するにしても、ほかのカテゴリーで通用するとは限らないので、もっと武器をつくらないといけないと思いました。
ハントラクル 自分はサーブが武器だと思っていて、今回海外で初めてプレーしましたが、そこまで通用しなくて。相手も拾ってきて、ミスが多かったです。拾われても、8割以上の力でずっと入れ続けるような練習をしたいと思いました。
また、スパイクの高さがなくて、トスが割れたり、二段トスが集まってきたときの点の取り方がイマイチでした。空いているコースに打ちきれるようにチームで練習をして、また海外遠征に行けたら試したいです。
――お互いのプレーはどう映りましたか?
岩下 (ハントラクル)星夏はパワーがあって、それは自分にはない部分だと思いました。声を出すし、自分が苦手なレセプションでもカバーしてくれたのでやりやすかったです。自分にない武器を持っているので、負けたくないと思いました。
ハントラクル 自分とは逆に高さがあって、ブロックの上から足の長いスパイクが打てます。自分も負けじと高さをつけて、視野を広げて点を取れるようになりたいです。
――ハントラクル選手はリベロとしてもプレーしました
岩下 1セットしかしていなくて、そのときは一緒に出ました。リベロでもそうでなくてもサーブで狙われていましたが、それでもしっかりと返せていたので。自分も練習を頑張ろうと思いました。
ハントラクル リベロは守備がメインですが、それができなかったらこの身長では上のカテゴリーではやっていけないので。そういった面でも役に立ったと思います。
――改めて将来の日本代表入りへの思いはいかがでしょうか?
ハントラクル 日の丸を背負うことが目標ではありますが、まずは目の前のことをしっかりやっていきたいです。
岩下 中学生のときから代表のゲーム(全国中学生選抜)に出してもらいました。これからの国スポ、春高と全部の試合に勝って、またそういった代表に選ばれるような選手になっていけたらと思います。
インターハイでは、得点源としてともにチームを引っ張った(コート手前#6がハントラクル、コート奥#5が岩下)
インターハイでは
決勝でマッチアップ
――インターハイの決勝でお二人は対戦し、岩下選手が所属する鎮西高が勝利。マッチアップして打ち合うシーンもありました
ハントラクル なんでレセプションに入ってくれなかったんだろう、と思いました(笑)
岩下 ブロックでは時間差攻撃などに対応できましたが、ブロックアウトを狙ってきたときに、もうちょっと手の上に当ててチャンスにできるようなブロックを練習したいと思いました。(市立尼崎高は)系統が似ているチームだと思うので、そこでは負けたくないし、負けるつもりもないので。これからもっと個人技も含めてチーム力を上げて、イチアマ(市立尼崎高)だけではなくて、ほかのチームにも負けないようにしたいです。
――第4セットには、ハントラクル選手が1枚で岩下選手をブロックする場面がありましたね
ハントラクル 岩下は最後のほうになるとクロスが多いのはわかっていたので、張っていたところはあります。
岩下 最後はちょっと決め急ぎましたね。コースを狙って打てばよかったのに、がむしゃらに強く打ってしまったので。そこは反省するところですし、1枚で止められるようではダメだと思いました。
――国スポ、春高に向けた思いはいかがですか?
ハントラクル インターハイで優勝して、ちょっと浮かれているところがあるのかなと思うので(笑) そこを突いて三冠を取らせないように。鎮西の三冠を自分たちが食い止めることを目標に頑張っていきます。
岩下 いや、調子に乗れるようなことはないので(笑) チームの総合力が上がってきたのはいいことだと思いますが、メンバーも競争して固まっていなくて、練習が必要な状態です。優勝したからこそ負けられないというようなプレッシャーもあって、少し怖さを感じている部分もあって。国スポの九州ブロック大会も正直、自分も含めて出来がよかったわけではないので、国スポ本戦に向けてもっと詰めていきたいです。
ただ、ドリマ(2月に行われた全日本ジュニアオールスタードリームマッチ)のときも言いましたが、目標は三冠。インターハイで自分たちが対戦していない強いチームはたくさんあるので、そういった相手にも負けないようにしたいです。
インターハイはデータバレーというよりはガチンコで戦うチームが多かったですが、駿台(学園高〔東京〕)などはデータバレーをしてきます。相手がどんなバレーをしてこようと、完膚なきまでにたたきのめすというくらいの気持ちで頑張りたいです。
はんとらくる・せな
3年/身長187㎝/園田東中(兵庫)出身/アウトサイドヒッター
いわした・まさひろ
3年/身長188㎝/錦ヶ丘中(熊本)出身/オポジット
取材・撮影/田中風太(編集部)
■バレーボール全国高校選抜男子 インドネシア遠征で将来につながる経験 岩下将大は「もっと武器をつくらないと」
■キューバ代表と対戦し、世界選手権も観戦 バレーボール全国高校選抜女子がタイで過ごした充実の日々
■鎮西高がインターハイの優勝祝賀会を開催 朝日健太郎OB会長は黄色のユニフォームの秘話を披露
■クイックに4枚攻撃「エースバレー」の鎮西高が変わった⁉ 宮迫竜司コーチが語るインターハイ優勝への道【インタビュー前編】
■畑野久雄監督の右腕・宮迫竜司コーチが語る「鎮西バレー」の正体 「鎮西はよく『エースバレー』と言われるけど…」【インタビュー後編】