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SVリーグ2024-25

「負けることが頭になかった」3年前の全中ベスト4を超え、初の全国大会決勝へ【インターハイ女子準優勝 福岡女学院高主力座談会(前編)】

  • 高校生
  • 2025.11.07

 インターハイ、国スポを終えて、高校バレーは全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高)の予選が各地で行われている。集大成の舞台に向け、選手たちはどんな思いで歩みを進めてきたのか。インターハイ女子準優勝の福岡女学院高(福岡)の萩原千尋キャプテン、エースを務める木築紗良、吉田朱李のインタビューをお届け。前編では、福岡女学院中(福岡)時代も含め、初めて全国大会の決勝に進んだ夏の戦いを振り返る

 

 

(左から)萩原千尋、吉田朱李、木築紗良

 

 

――それぞれにとってインターハイはどんな経験になりましたか?

萩原 高校1年生で出たインターハイでは何回もキャッチ(ホールディング)の反則を取られて、それがトラウマになっていました。「もうキャッチやダブルコンタクト(ドリブル)を取られたらいけん」という気持ちや、最後のインターハイというプレッシャーもあったけど、周りの選手が1年のときよりレベルが上がっていたので。自分がダメでもなんとかしてくれる安心感もありました。それでも、「自分がなんとかスパイカーを生かして勝たせよう」という気持ちでプレーしました。

 

吉田 あのときはやばかったよね。トスを上げるたびに「ピー」って笛が鳴ってね(笑)

 

木築 しかも交代してもう一回コートの中に入ったのに、ね。

 

萩原 お姉ちゃん(萩原菜摘)が交代して入って1回も(反則を)取られなかったんですけど。自分は途中から入って、その1本目から吹かれました。

 

吉田 「あ、また取られた。あららら…」って(笑)

 

萩原 もうアンダーであげたほうがいい、って思った(笑)

 

吉田 (反則を)取られたけん、1年のインターハイが終わってからトスを変えたよね?

 

萩原 大学の先生とか、いろんな人にも話を聞きました。(ボールを)持たずに上げるのがコンビバレーをするセッターとして大切だから。高いボールだと少し持ってしまっていたけど、(ボールを)突く練習をしてきました。

 1年生の春高予選の1ヵ月前くらいには、もともとセッターだった先生(大谷弘之監督)のお兄さんも指導に入ってくれて、自分についてもらいました。手だけで上げてしまうとコントロールがつきにくいから、体全体を使って上げることを教えていただいて。まずは自分の手から離れてスパイカーが打つまでの軌道について質を上げるようにしました。

 

吉田 上げ方はすごく変わっていると思います。突いたり、ちょっと浮かせたり、それぞれの選手に合わせてトスを変えているからすごい。

 

萩原 いやぁ、うれしいですね(笑)

 

吉田 突いたほうが打ちやすくなったけど、最初は合わんかったよね。トスがピュっとくるから、体幹の力がないと(体が流れて)ボールに持っていかれたりする。

 

木築 千尋が成長している分、自分たちも成長しないとそれに合ったプレーができなくなる。スパイクを打つときに左手が上がっていないと流れてしまうから、そこは意識しています。

 

吉田 こっち側(左)の体幹を鍛えなさい、とよく言われます。ましになってきたけど、もっと頑張ります。しっかりと打てないときには「今のどうやった?」って話し合ったり。お互いに言って学んでいるね。

 

 

中学時代から大きく成長した#3萩原キャプテン

 

 

――セッターの萩原選手から見て、両スパイカーのプレーはいかがでしたか?

萩原 全中(全日本中学校選手権大会)もそうでしたが、この2人が軸になって、決めてほしいときは絶対に決めてくれました。

 

吉田 中学3年の全中や高校1年のインターハイなど、これまで大きな大会に出させてもらって。テンポが上がったり、自分が打てるコースの幅も広がって、うまくなっているのかなと思います。

 

木築 スパイクもそうですが、高校に入ってからレシーブがよくなったと思います。スパイクは同じコースばかり打っていたけど、ハーフショットやストレートへのスパイクも打てるようになりました。

 

吉田 でも、ただ高校に上がっていても、大谷先生がおらんかったらここまでうまくなっていなかったと思う。自分たちでやっとっても絶対勝てんかった。

 

萩原 まずコンビバレーになってないしね。

 

木築 それは思う。レシーブも上がらんかったね。

 

萩原 比奈さん(熊本コーチ)もそうだし、城岡先生(伸行/福岡女学院中高総監督、福岡女学院中の監督を兼任)も、高校に入ってからも悩んでいることがあったら相談に乗ってくれる。

 

――大会を振り返って、カギを握った試合は?

萩原、吉田 国際(2回戦の大阪国際高〔大阪〕)戦!

 

吉田 全中のときに2回対戦しているから※。勝ててうれしかったよね。

 

萩原 うれしかった!

 

木築 やってやる、って気持ちだった。

※ベスト4入りした2022年の全中で、大阪国際中と予選グループ戦と準決勝で対戦。ともにストレート負けを喫した

 

萩原 自分が決勝トーナメントの抽選でくじを引いたんです。そのときに4枠しか空いていなくて、国際のところを引いたときに、すぐみんなに連絡して。ミーティングでは「絶対に勝とう!」と言いました。そこからめっちゃ情報を集めたね。

 

吉田 絶対に勝ちたかったから、いろんな人に聞いた。

 

木築 全中で対戦したときは、相手の淡々とした雰囲気にのまれたね。

 

吉田 中3のときは最後に決まらなかった。自分にトスが上がってきて、決めないといけない立場なのに、決められないのが悔しかった。

 

萩原 あのときは(トスを上げるときに)何も考えていなかった。「とにかくここ(両エース)に上げればいい!」って。「どうにかして!」って(笑)

 

木築、吉田 (笑)

 

木築 自分はブロックアウトができるようになったと思う。(中学時代は)打って、打って、打つだけ。

 

吉田 しかも同じトスに対して同じ入り方で! それしかなかった(笑)

 

木築 ワンテンポ、ワンテンポ。

 

萩原 相手が強くなればなるほど、自分の力の見せどころではないけど。どれだけ選択肢のあるトスを上げるか、ということを意識していた。国際戦はレシーブがよくて、レセプションの返球率も高かったから、そのなかでいかにブロッカーをだましてノーブロックにできるか。いろんな攻撃をしたほうが、相手も迷ってくると思った。

 1セット目、後半にバタバタした(25-23)けど、2セット目はスパイカーが絡む攻撃やツーアタックも入れながら、何をしてくるかわからないと意識させるようにした。

 でも、勝ったときは大喜びという感じではなかったよね。「よっしゃ、次!」って。

 

吉田 就実高(岡山、準決勝)戦も、「勝ったけど次」って。勝たないといけないという部分もあった。

 

萩原 チャレンジャーだけど、このチームで九州大会は1回目以外負けていないから(※)。負けることがみんなの頭になくて、勝って当たり前というところもあった。練習試合でも「負けセットが続いたら負け癖がつくけん、絶対に取ろう」と言うようにしていて。それもあったから、1回勝っただけでは満足せず、日本一を取るまでという気持ちがあったと思います。

※決勝で東九州龍谷高(大分)に敗れた第35回全九州選抜高等学校バレーボール大会。5月の第70回 全九州バレーボール総合選手権大会、6月の第77回全九州高等学校体育大会ではともに初優勝を飾った

 

 

大阪国際にストレート勝ちした2回戦

 

 

――高い意識を持ち続けてたどり着いた決勝では、金蘭会高(大阪)と対戦しました

吉田 相手のブロックのかたちがきれいすぎた。SVリーグやVリーグのチームと比べても、一人一人がやるべき仕事をできていて、ブロックがいいから空いているコースにしっかりとリベロ(岡日和)が入っていました。相手にはめられたという感じです。

 

木築 壁みたいだったね。

 

吉田 ボールをちゃんと見ているイメージ。まっすぐ跳んで、(ブロックどうしの)間も空いていないし。それで、コースに打とうとしたらリベロがいる。(コートの外に)出そうと思っても、ブロックが結構前に出ているからなかなか出せないし。リベロを外して打てと言われていたけど、守備範囲が広すぎて、コースがズレて結局捕られてしまった。

 

木築 ブロックもだけど、サーブレシーブがうますぎた。しかもリベロじゃなくてほかの人もうまい。圧ではないけど…、わかる?

 

吉田 崩れないよね。(サーブ)強く打ったよね?

 

萩原 1本決まったよ!

 

木築 打った! 1本決まったけど、スキがないというか。

 

吉田 ほんとうにうまい。すごかったね。

 

はぎわら・ちひろ

3年/身長170㎝/最高到達点286㎝/福岡女学院中(福岡)/セッター

 

きつき・さら

3年/身長172㎝/最高到達点288㎝/福岡女学院中(福岡)/アウトサイドヒッター

 

よしだ・あかり

3年/身長170㎝/最高到達点287㎝/福岡女学院中(福岡)/アウトサイドヒッター、オポジット

 

取材/田中風太(編集部)

写真/山岡邦彦(NBP)、編集部

 

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