「今までにないぐらい」の練習を乗り越えて 14年ぶりの府予選2位から初の連覇【インターハイ女子優勝 金蘭会高主力座談会(前編)】
- 高校生
- 2025.11.01
インターハイ、国スポを終えて、高校バレーは全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高)の予選が各地で行われている。集大成の舞台に向け、選手たちはどんな思いで歩みを進めてきたのか。インターハイで連覇した金蘭会高(大阪)の馬場柚希キャプテン、岡日和、德元菜々美(以上、3年)によるインタビューをお届け。前編では、予選の悔しさをバネに頂点に立った、夏の戦いを振り返る
(左から)德元菜々美、馬場柚希、岡日和
――インターハイで連覇した実感はいかがでしたか?
馬場 あまり湧かなかったのが正直なところですが、お祝いのメッセージが何件もたまっているのを見て「優勝したんだ」と感じました。美波さん(西村〔東海大1年〕)や凜さん(西川〔クインシーズ刈谷〕)たちが連絡をくれてうれしかったです。
岡 自分も一緒で、優勝した実感は湧かなくて。みんなからメッセージがきていて、「優勝したんだな」と感じました。
德元 自分も先輩たちから「おめでとう」と言われて優勝したんだ、って。一緒やな!
馬場 最後に決まったのがサービスエースで、ラリーとかではなかったからな。
岡 「あ、終わった」みたいな感じやった。そのときはベンチにおったし。
馬場 え、そうなん? 光(ミドルブロッカーの石橋)がサーブやったからか。
岡 去年のインターハイで優勝したときは咲愛(大森〔筑波大1年〕)さんか美波さんに代わってコートに入らせてもらっていたから、こんな感じやったんや、と申し訳なくなった(笑) (コートに)入りたかった…。
――決勝の福岡女学院高(福岡)戦以外はセットを落とさずに勝ち上がりました。印象的な試合はありますか?
岡 富士見(準決勝の静岡県富士見高〔静岡〕)戦じゃない?
德元 うん、やっぱり1セット目よな。
――静岡県富士見高は3回戦では八王子実践高(東京)、準々決勝では東九州龍谷高(大分)を破り、勢いに乗っていましたね
馬場 前日に、「ノリノリな分勢いに乗ってくると思うから、受け身にならずに自分たちも攻めていこう」と話しました。
岡 さくらVOLLEY(全国私立高等学校男女選手権大会の準々決勝)でも対戦して、その試合も競った印象がすごくあったので(25-19、26-24で勝利)。強いと覚悟して臨みました。
德元 富士見はほかのチームにはあまりないブロードがめっちゃあって、その印象がすごかったです。そこにどれだけ対応できるかだなと思っていました。
岡 進化していたよな。まひ(鈴木真優〔まひろ〕)が1回ステップしてから、そこからさらに跳ぶ、みたいな。バリエーションが増えているなと思った。
馬場 ブロックしづらいよね。
岡 しかもブロードのときに2人で走ってきて、「どっち?」って(笑)
德元 でも、「ここをブロックで開けるから、そのコースは(レシーブで)お願い」という会話はずっとしていたよな。
岡 言っていたけど、すごいから…。拾えなくて怒られました(笑) でも、自分がコートにいない間に德元がめっちゃ拾ってくれたので、そこがよかったと思います。
馬場 うん、うん! 安心して見られるというか、一緒にプレーしていても、「お願い!」という気持ちで任せられます。
德元 自分が後衛のときは前衛が西村(里音)で。ストレートは開ける、とコミュニケーションはとっていたから、そのコースだけは絶対に上げようと思っていました。
岡 ブロード、全部拾ったよね? …照れてるん?
德元 うれしい、うれしい(笑)
馬場 あとは里音のブロックが決まったのも大きかった。あれがなかったら、ね。
第1セットの接戦を制し、ストレート勝ちした静岡県富士見戦
――第1セットを26-24で奪ってストレート勝ち。決勝の福岡女学院高戦は3-1で勝利しました
岡 サイドの選手は大きくはないけど、パワーを生かして打ってくると言われていました。ミドルブロッカーだけではなくて、サイドの選手も注目していたよな。
德元 第1、第2セットは最初からリードしていたからあまり焦ることはありませんでしたが、第3セットはサーブレシーブがなかなか返らなくて。
岡 ドライブサーブね。
德元 福女(福岡女学院高)も勢いがあるから焦ってしまった。
馬場 3セット目の出だしはこっちがミスをして。コートの外から見ていたんですけど、やばいと思いました。
――第3セットをジュースの末に落としましたが、第4セットは序盤から主導権を握ってズルズルといきませんでした
馬場 福岡女学院も勢いに乗らせたらめっちゃ強い。そうさせないように、自分たちが練習してきたつなぎのバレーをいかに出すかを考えていました。ミスをしてしまっても、すぐに切り替えるようにしていたよな。
岡 最初の5点をどう取るか、ということは、インターハイ前の八王子(実践高)との練習試合でもこだわっていたので。出だしの入り方もすごく大事にしていました。
德元 3セット目は序盤で点差をつけられてそのままセットを取られたので。4セット目は1本目から集中しようと思いました。
――インターハイ府予選では、大阪国際高に敗れて14年ぶりの2位で本戦へ。本戦に向けて、池条義則監督は「今までにないぐらい練習した」と言っていました
馬場 だいぶきつかった。今までにないくらい練習が長かったね。多いときは5セットぐらいしていなかった? 内容が悪かったらもう1セット、という感じだった。
岡 この2人が(2025女子U19バレーボール世界選手権大会で)いないときに、中山(沙也)と新井(萌々)と吉田(桜香、以上2年)が相手チームに入って、1、3年生対2年生のようなゲームをしたんです。それで3年生チームが負けてしまって、そこから何回もゲームをして。それがあってから、2人が帰ってきてからもその延長のような感じでした。「3年生が全然ダメ」と怒られて、何もうまくいかずメンタル的にもきつかったです。
インターハイ府予選では1-2で大阪国際高に敗れた
德元 インターハイ予選で負けてからチームを離れていたので、海外遠征でも絶対プラスになって帰ってこないといけないと思っていました。近畿大会、インターハイまでの時間がほんとうに短かかったから、予選の結果から変わろうという思いでした。
馬場 インターハイ予選で国際(大阪国際高)に負けてしまったから、という部分もあるんですけど、去年も優勝しているし、絶対にインターハイで勝つという気持ちで練習に取り組んでいました。池条先生もその気持ちが強い分、練習の質が上がって、量も増えたのかなと思います。
岡 試合がモチベーションでもあったよな。この練習を乗り越えたら結果はついてくると思っていました。意識していたのはブロックとレシーブの関係。相手のトスがどんな状況かを判断して、ストレートを締めるのか、開けるのかを決めなさいと、何回も指導をもらいました。
――その成果は本戦で感じられましたか?
馬場 富士見戦はレシーブでつなぐ回数が多かったと思います。
德元 まだまだだけど、インターハイ予選よりはよくなった。このコースを締めよう、という会話は増えたと思います。
岡 德元が出ていたときにめっちゃ長いラリーがあったやん。コートの外から見ていてすごいな、って。コートに入っていないときにそれができていたから、個人的にはあまり手応えはないな、と思います。
德元 いや、クロスのスパイクをレシーブしていたやん!
岡 いやいやいや…、全然ダメです。
ばば・ゆずき
3年/身長180㎝/最高到達点300㎝/安倉中(兵庫)/ミドルブロッカー、アウトサイドヒッター/U19日本代表(2025年)
おか・ひより
3年/身長152㎝/最高到達点260㎝/金蘭会中(大阪)/リベロ/全国高校選抜(2025年)
とくもと・ななみ
3年/身長172㎝/最高到達点288㎝/金蘭会中(大阪)/アウトサイドヒッター/U19日本代表(2025年)
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