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「ビーチバレーボールの神様になりたい」長谷川徳海が全日本選手権で連覇を達成も、抱き続ける壮大な目標と競技への熱き思い

  • ビーチ
  • 2025.08.18

「あれがビーチバレーボールだよなぁ」という先輩の言葉に「そういう試合ができたことがうれしい」と長谷川

 

 

ビーチバレージャパンの決勝では勢いに乗る水町(コート手前)の前に立ちはだかった

 

 

 長谷川自身はブロックの名手として腕を鳴らし、試合でブロックシャットが決まれば観客を巻き込んでリアクションをとるなど、その場を盛り上げることもいとわなかった。そうして今や『長谷川組』なるファンたちが会場に足を運び、黒色のアイテムで応援するのがおなじみの光景となっている。それはこの夏の鵠沼海岸でも同様で、熱い声援を受けながらビーチバレージャパンを勝ち上がっていく。

 

 決勝では7月に「FISUワールドユニバーシティゲームズ(2025/ライン・ルール)」を経験したことでレベルアップした水町/黒澤組を退ける。最終セットは相手に14-15とチャンピオンシップポイントに到達されながらも、そこから3連続得点をあげる逆転勝利で日本一をつかんでみせた。

 驚くべきは、その展開でもスコアが頭に入っていなかったこと。試合後、報道陣にふられて「今、言われて気づきました」と長谷川。隣の黒川も「1点を取る作業はどのシチュエーションでも変わらない。その一心で戦っていたので、正直記憶にないといいますか…」と、きょとんとした表情を浮かべる。

「おそらく点数を気にせずに、僕らがやらなければいけないことをただ淡々とやった結果、逆転しただけなので。目の前のことに集中できたのが要因かなと思いました」

 

 

黒川(右)とのペアは今年、各大会で上位成績を残している

 

 

 その長谷川の言葉が、今年のジャパンツアーにおいてもここまで2大会で優勝を飾っているペアの強さを表していた。そうしてビーチバレージャパンも制したわけだが、「数字にはそれほどこだわっていなくて、大会連覇も気にしていない。正直、今年勝てたことがうれしい」と長谷川。続けて、こんな胸の内を明かした。

「ただ、このビーチバレージャパンはとても特別な大会だと思っているんです。今年はとくに、初日は風がめちゃくちゃ強くてプレーするのも大変だったのですが、初日の試合を終えたあとに川合俊一会長が僕たちのベンチに来たんですね。『相手チームのサーブやばくなかった!?』と、まるで小学生みたいな顔をしながら言ってきたんです。『すごいよなぁ。でも、お前たち(黒川/長谷川組)もグッドサイドでしっかり点を取りきって勝つじゃん。あれがビーチバレーボールだよなぁ』って。

 ふだん、僕はそれほど話すことはしないんです。川合会長が他チーム(トヨタ自動車ビーチバレーボール部エグゼクティブ・アドバイザー)ということもあって。ですが、『今日の試合、おもしろかったぁ』とうれしそうに言っていました。そういう試合が、それこそ僕たちの先輩方がおもしろいと思ってくれるようなゲームができていることが、僕としてはうれしかったです」

 

 そんな長谷川をたたえるように、大会の表彰式では藤沢市の鈴木恒夫市長が「湘南の顔になってもらえたら」と挨拶した。その言葉を受けて、本人も「観光親善大使みたいなものにしてもらえたら。ぜひお願いしたいです」と笑い、黒川も「見た目は最高にマッチしていますよね」と後押しする。それでも「(ビーチバレージャパンで)10連覇した先輩も大使になれなかったので。もっともっと頑張らなければ」と長谷川は意気込んだ。

 

“日本のビーチバレーボール発祥の地”である鵠沼海岸で今夏も日本の頂点に立った長谷川。すでにビーチバレーボール界の顔であることは言うまでもないが、果たして目指す“神様”の領域には近づけただろうか。はたまた先のことを見ずに目の前に集中しているかも? 1年前の取材で口にした言葉がよみがえる。

「僕は好きでビーチバレーボールをやっているだけなんです」

 純粋な競技愛を抱きながら、長谷川はこれからもその道を極め続けるのだ。

 

 

ビーチバレーボールの伝道師たれ。長谷川の生き様がそこにある

 

(文・写真/坂口功将)

 

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