先を見据えた采配で初の準優勝 福岡女学院高大谷監督が振り返るインターハイの戦い
- 高校生
- 2025.11.07
インターハイ、国スポを終えて、高校バレーは全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高)の予選が各地で行われている。インターハイ女子準優勝の福岡女学院高(福岡)は、10月26日(日)までに行われた春高県予選で、全試合ストレート勝ち、最大失点を11点に抑える圧巻の強さで11月8日(土)に行われる決勝に駒を進めた。大谷弘之監督が夏の戦いを振り返るとともに、春高に向けたポイントを語った
大谷弘之監督
――今季は九州大会で2回初優勝し、結果を残して臨んだインターハイでした
今年のチームは優勝が狙えるチームだったので、少し残念だったという思いはあります。ただ、近畿、関東のチームとはあまり試合をしていなかったなかで、そういったチームにも十分通用することがわかったのはよかったです。
――大谷監督にとって印象的な試合はありましたか?
大阪国際(〔大阪〕、2回戦)戦ですね。あの試合を勝てば決勝もいける、といううちにとってのキーになる試合でした。インターハイ府予選で金蘭(金蘭会高)に勝って前評判も高かったので、どんな試合ができるのかな、というところもありました。
ただ、選手たちはまだ体力が残っていたこともあって、しっかりとぶつかり合えば分があるのかなとも感じていて。それが実際にああいった試合になったし(25-23、25-11で勝利)、自信にもつながったと思うので、いちばん印象に残っています。
――福岡女学院中(福岡)出身の選手にとっては、3年前の全日本中学校選手権大会で敗れた相手でした
今年は3年間でつくり上げてきたチームで、どことゲームをしてもあまり負けていませんでした。選手たちに確認しても「自信しかない」という前向きな返答だったので、あのような落ち着いた試合ができたのかなと思います。
――初戦から積極的にミドルブロッカーの攻撃を使うなど、大会を通してセッター萩原千尋キャプテンを中心に相手に的を絞らせない攻撃が光りました
インターハイは連戦になって、どうしてもあとの試合になるごとに対策されてしまうので。1試合目(予選グループ戦)の高松商高(香川)戦はわざと真ん中の攻撃を使うようにして、「真ん中があるよ」とイメージをつけました。
もともとサイドの選手もしっかりとボールをたたけて、点を取れる選手たち。あれだけ真ん中があると感じてもらえれば、サイドへのマークが薄くなって確実にうちは有利になります。初戦で真ん中を意識させた試合ができたことも大きかったのかなと思います。
――しっかりと先を見据えた戦いですね
無理くり使っていますけどね(笑) 時間差攻撃とか、真ん中を意識させて(コートの中に)切り込むとか、相手のブロックが1枚、1枚半になってそのあとにもつながりましたね。
大会を通して、セッター萩原千尋キャプテンのトスワークが光った
――準決勝の就実高(岡山)戦はサーブ&ブロックが機能。木築紗良選手が3本決めるなど、8本のサービスエースを奪いました
今日もサーブ練習を多めにしていますが、サーブには時間をかけているので。決勝はなかなかサーブで攻められなかったので、そこからさらに強化しています。
――その金蘭会高との決勝は序盤から苦しい展開になりましたね
金蘭は大きくて、いい選手がそろっています。ただ、絶対に負けるという相手ではありません。両サイドの選手の体力がなくなり、跳べなくなっていたなかで、高いブロックにかぶされてしまった。本来はタッチを取ったり、もっとコースに打てるはずが、跳べない分全部リベロに捕られてしまいました。だからこそ、今は走り込みをしたり、体力強化にも力を入れています。
――相手の守りは全国を見てもトップクラスでした
もうちょっと早く、大会の1試合目で当たりたかったですね(笑) フルの状態でやりたかった。大会のあとになればなるほど高いチームは有利なので、その差はあったのかな、と思います。
あとは、3年生リベロの大島(蘭)がインターハイの前にケガをして、出られなかったのは大きいです。1年生のリベロ(賀川咲穂)はしっかりとプレーしていましたが、経験不足な部分もあったので、あのなかでは厳しかったのかな、と思います。
――春高まで長い期間があります
日本で2位になったので、金蘭以外のチームと練習ゲームをするのではなくて、もう一つ上のレベルのチームと試合を積み重ねてレベルアップを図りたいです。
ヴィクトリーナ(姫路)さんやカノア(ラウレアーズ福岡)、鹿屋体育大学さんや関西でいちばん(春、秋リーグともに優勝)の帝塚山大学さんなどがよく相手をしてくれて。この期間でも少しでもレベルアップしたいと思います。
――カノアと言えば、同チームの選手、GMとして活躍した熊本比奈さんが今年度からコーチを務めています
もともとカノアで監督をしていた森田君(亜貴斗〔現・奈良ドリーマーズGM〕)とつながりがあって、よく練習試合をさせてもらっていたのですが、そのときに彼女は選手でした。
自分が2年前の3月に福岡女学院高の監督になって、3ヵ月でインターハイ県予選を優勝したのですが、そのときに彼女は「指導者が変わるだけで、なんで3ヵ月で強くなるの?」と思ったみたいで。そのあとも春高に出たことで、指導者への意識があったそうです。
熊本比奈コーチ(左)
どのカテゴリーの指導者になるのか、と考えたときに、子どもたちの成長を実現できるのは高校がいちばんおもしろいかなという話になって。今年のゴールデンウイーク明けからチームに来ました。
彼女は実績があるので、子どもたちからすれば言われたことがすっと入るというか。自分からの言葉と彼女の言葉では、受け止め方が違う。同じことを言っても子どもからすれば、「やっぱりそうなんだ」という確信に変わるんです。それは大きいですね。
――春高予選ではどんな姿を見せたいですか?
サーブとブロックの強化と、スパイク力は十分にあるので、コンビネーションを少し速くしたいと思っています。まだまだトスミスやタイミングの違いがあって、一つのミスが全国では致命傷になってくる。その精度をもう少し上げたいです。まだまだやることはたくさんあるので。ここから化かせないとね(笑)
取材/田中風太(編集部)
写真/山岡邦彦(NBP)、編集部
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