「姫路から世界へ」――井上愛里沙氏がヴィクトリーナ姫路ユース15監督に就任
- SV女子
- 2025.06.06
新たな一歩を踏み出す井上「監督」
SVリーグ女子のヴィクトリーナ姫路が新たに設立する中学生年代のユースチーム「ヴィクトリーナ姫路ユース15」に関する記者会見が6月6日、兵庫県姫路市で行われた。会見には、2024-25シーズンをもって現役を引退した井上愛里沙氏が、新監督として登壇。新たなキャリアのスタートとクラブの未来構想について語った。
左から上原社長、岡崎事業部長、井上監督、中垣アドバイザー
世界での経験を次なる世代へ
会見の冒頭では、株式会社姫路ヴィクトリーナの上原光徳代表取締役社長が登壇。「姫路から世界へ」というクラブスローガンをあらためて強調し、「世界で活躍してきた井上愛里沙氏だからこその経験やノウハウを次世代に継承してほしい」と新監督への期待を込めた。
今回のユースチーム設立は、トップチームと一貫した指導体制を構築し、ジュニア世代から世界を見据えた選手育成を進めるクラブの中長期戦略の一環。地域密着型の育成環境を整備し、競技力だけでなく人間力も育む土壌づくりを目指している。
ユース15のプロジェクト名には「WiTh A(ウィズ エー)」が掲げられた。“with Arisa(愛里沙とともに)”という直訳に加え、「W」と「T」には“Win Together(ともに勝つ)”という信念が込められ、「A」には“愛(Ai)”や“冒険(Adventure)”といった、人間性や挑戦を象徴する多様な思いが託されている。
プロジェクトでは2025年7月にセレクションを実施、8月には本格的な活動をスタートする予定。当面の目標として、10月に開催予定の「SVL U15」大会での優勝を掲げ、チーム一丸となって準備が進められている。
登壇した井上氏は、「姫路から一人でも多く、海外で活躍できるような選手を育てていきたい。そして、現役を引退したあとも自立して生きていけるような、そんな人間的な成長も大切にしたい」と意気込みを語った。
会見にはアカデミー事業部の岡崎大志部長に、プロ野球など多くのチームでコーチやトレーナーを務めてきたアカデミー事業部アドバイザーの中垣征一郎氏も登壇。岡崎部長は、プロジェクトの構想と地域連携の意義について次のように語った。
「経済的な事情で夢をあきらめるのではなく、誰もが挑戦できる環境を整えることが大切。地域の企業がスポンサードすることで、地元の子どもたちを地域全体で支える仕組みをつくっていきたい。才能があっても環境に恵まれず埋もれてしまう子どもたちを見つけて、育成できる環境を目指す」。
会見の終盤にはフォトセッションが行われ、井上氏は凛とした笑顔で報道陣のカメラに応えた。プロとしてのキャリアに幕を下ろし、次なる舞台へ。彼女が導くユース世代の歩みに、今後も注目が集まりそうだ。
取材/島原隼人