垂水優芽(チステルナ) 「これまでの道のりも、イタリアでの挑戦も、すべては3年後のために」【日本代表を経てセリエAの舞台へ】
- 海外
- 2025.10.26
セリエAの2025-26シーズンが現地10月20日(月)に開幕した。海の向こうで戦う日本代表の選手たちは今季、どんな思いで日の丸を背負ったのか。大阪ブルテオンからレンタル移籍し、チステルナでの2シーズン目を迎える垂水優芽は、将来を見据えて武者修行を続ける
垂水優芽
チステルナは小さな街
すれ違う人が気さくに声をかけてくれる
イタリアの人口は約5900万人と、日本の半分ほど。そのなかで、垂水優芽が所属するチステルナのホームタウン、チステルナ・ディ・ラティーナは、ローマ近郊にある人口3万7000人ほどの小さな街だ。
10月上旬、有明アリーナ(東京)ではサントリーとペルージャによる「Qoo10 presents ワールドチャレンジシリーズ 2025」が開催されたが、その試合後、ペルージャのアンジェロ・ロレンゼッティ監督は、2日間ともおよそ1万4000人が足を運んだ会場を目の当たりにし、「イタリアでは考えられない」と感嘆した。世界最高峰リーグとの呼び声高いイタリア・セリエAだが、こと人気チームの観客数に関しては、(会場の関係もあるが)日本が上回っているといえるだろう。
「チステルナはほんとうに小さな街で、すれ違う人の多くは僕の顔を知っていて、気さくに声をかけてくれるんです」
垂水はそう言ってうれしそうに笑う。選手とファンの距離が近い分だけ、ファンのクラブに対する熱量も高く、その熱がコート上で戦う選手たちをいっそう駆り立てる。いかにもイタリアらしい光景だ。
2024年6月、大阪Bからチステルナへのレンタル移籍が決まりイタリアへ。3年生時に春高で優勝した洛南高(京都)時代や、4年生時にはキャプテンとして全日本インカレを制した筑波大時代とは異なり、トップリーグで毎シーズンのように優勝争いに絡む大阪B(入団当時はパナソニックパンサーズ)での出場機会は限られた。一方、チステルナでは350㎝の最高到達点を誇るジャンプ力を見込まれて出場機会を得ると、眠っていた細胞が目を覚ましたように躍動し、アピールを重ねた。
「なんといってもセリエAですから、攻撃が簡単に決まることなんてありません。でも、失敗を経験することで、次に工夫することができる。練習で新しい技術に挑戦することで、次の試合ではそれを試すことができます。そうした学生時代には当たり前だったサイクルに再び自分を乗せることができて、とても充実していました」
国際親善試合に出場した#27垂水。後藤陸翔と肩を組んで記念撮影
今年7月、岩手で行われたオーストラリアとの国際親善試合では、日本代表Bチームのメンバーとして名を連ねた。そこでは、筑波大時代にも苦楽をともにした西川馨太郎(大阪B)や、大学時代にしのぎを削った伊藤吏玖(早稲田大→東京GB)など、2000年から2001年生まれの同年代の選手が数多く顔を合わせた。3年後のロサンゼルスオリンピック時に、彼らは20代後半にさしかかる。経験を重ね、それを純度高く自身のプレーに反映できる若さも兼ね備えた、輝く年代と言えるだろう。
「オリンピックは自分が目指している場所。これまでの道のりも、イタリアでの挑戦も、すべてはそこにつながっています」
垂水は今シーズンも引き続きチステルナでプレーする。3年後、積み重ねた経験のすべてを、日本代表としてロサンゼルスオリンピックでの戦いにぶつけるために。
たるみ・ゆうが
2000年11月2日生まれ
身長187㎝/最高到達点350㎝
洛南高(京都)→筑波大
大阪ブルテオン所属、チステルナへレンタル移籍中
アウトサイドヒッター
文/村山純一(編集部)
写真/山田壮司
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