大塚達宣(ミラノ) 「来年また集まったときに、チームとしてどれだけ大きくなれるかを楽しみに」【日本代表を経てセリエAの舞台へ】
- 海外
- 2025.10.26
セリエAの2025-26シーズンが現地10月20日(月)に開幕した。海の向こうで戦う日本代表の選手たちは今季、どんな思いで日の丸を背負ったのか。昨シーズンは自身初めての海外でのプレーを経験した大塚達宣(ミラノ)。慣れない環境でアクシデントに見舞われながらも、持ち前の明るいキャラクターで道を切り開いた
大塚達宣
言葉もバレーボールも
トライ&エラーで成長を実感
日本代表として出場したVNL(ネーションズリーグ)は、予選ラウンド第2週の戦いを終えたところで、右ひじ関節の手術を受けるために戦線離脱。術後は順調な回復を見せ、「世界選手権への出場を見据え、できるだけ早い復帰を目指す」という言葉どおり、9月の世界選手権のメンバーに名を連ね、出場を果たした。
決断の早さ、そして実行力は大塚のバレーボール選手としての根幹をなす大きな要素だろう。海外挑戦の意向はかねてから公言していたが、昨季、イタリア・セリエAミラノへの入団でそれが実現。言葉の壁など、バレーボール以前に越えるべき幾つかの山もあったが、それも乗り越えてみせた。
「自分の言いたいことを100%伝えることができないことは最初からわかっていたので、ならば、“大塚という男はどんな選手なのか”をみんなに知ってもらうためには、どうアプローチをすればいいのかを常日ごろから考えていました」
そこで発揮されたのが、日本代表でも高く評価されるコミュニケーション能力だ。 開幕から間もなく、腹筋を痛めるアクシデントに見舞われたが、それまでの短期間に見せた「間違っていてもしかたがない。頑張って覚えた単語を組み合わせて、とにかく自分から伝えてみよう」という積極的な姿勢により、ミラノのチームメイトからの信頼も得る。「待っているよ」という温かな雰囲気が大塚の回復と、その後の活躍を促すこととなった。
シーズン中盤から終盤にかけては出場機会も増え、「シーズンを通して課題として取り組んできたことが、どんどん形になっていった。トライ&エラーは言葉もバレーの練習も同じ。ちょっとしたことですが、今までと違う環境にいるというだけで、僕にはすべてがおもしろいと感じられた。できることが増えていく楽しさを感じるシーズンでした」と初めての挑戦を笑顔で振り返る。
9月の世界選手権壮行試合で日本代表に復帰。途中出場でも仕事をまっとうし、会場の雰囲気を変えた
「“また大塚とやりたい”と思ってもらえることも大事にしてきた」というまじめさが実を結び、今シーズンもミラノでプレーする。「ディフェンスに長けているという、日本人らしさ、日本人プレーヤーに期待されるものでまず貢献し、そのうえで監督やコーチ、周りの選手など、すべてのアドバイスに耳を傾けて、より高い攻撃力を身に付けていきたい」と意欲をみなぎらせる。
「(3年後のロサンゼルス)オリンピックにいきたい、勝負したいという気持ちはあります。だけど、僕はそればかりを考えるよりは、イタリアでの生活はとても充実していて、毎日の練習はすごくおもしろい。日本代表もみんな、一人一人がそれぞれの場所で頑張っていると思うので、来年また集まったときに、チームとしてどれだけ大きくなれるかを楽しみにしたい」
視線の先に確かなビジョンを描きながら、大塚にとってイタリア・セリエAでの2シーズン目が幕を開けた。
おおつか・たつのり
2000年11月5日生まれ
身長195㎝/最高到達点340㎝
洛南高(京都)→早稲田大→パナソニックパンサーズ
ミラノ所属
アウトサイドヒッター
文/村山純一(編集部)
写真/石塚康隆(NBP)
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